やしお

ふつうの会社員の日記です。

山内昌之『イスラームと国際政治』

https://bookmeter.com/reviews/77454839

中東だけでなく、アジア・アフリカのイスラム国家や、アメリカのブラックムスリム(黒人のイスラム教徒)も解説されている。雑誌連載をまとめたもので、全体で大きな解説というより各トピックに関して歴史的な経緯や現状がコンパクトに解説される。98年の本で、20年前の時点ではどう見えていたのかが知られて面白い。特に中央アジア旧ソ連の一部や国境を接していた国々(カザフスタンウズベキスタントルクメニスタンタジキスタンキルギスタン)の当時のロシアとの関係性や、日本がどう関わっていたか解説している本は珍しい気もする。

イスラームと国際政治―歴史から読む (岩波新書)

イスラームと国際政治―歴史から読む (岩波新書)

堀栄三『大本営参謀の情報戦記』

https://bookmeter.com/reviews/77454786

太平洋戦争中に大本営の情報参謀になった著者の、主に太平洋戦争に関する回顧録になっている。太平洋上に点在する島々を攻略することの意味や、制空権というものがどういう意味を持つのか、アメリカ軍と日本軍の戦略や戦術といった話が詳細に語られていて、もともと軍事や兵器に興味がなかったけれどとても面白かった。大本営の中でも作戦課が上、情報課が下、という意識の中で情報が軽視され願望や思い込みに基づく作戦が立てられて結果として現場の血でそれを贖っていく構造が描かれる。

大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇 (文春文庫)

大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇 (文春文庫)

五百蔵容『砕かれたハリルホジッチ・プラン』

https://bookmeter.com/reviews/77451348

少ないルールや制約から出発してこんな複雑な戦略や戦術が導出されて実際そんな戦いが起こっている、みたいな話は、将棋でもサッカーでも読んでて興奮する。(将棋も)サッカーも見ないしやらないから正確に理解できるわけではなくても、そういう話を読むのが楽しい。ハリルホジッチという人が、日本代表の過去の取り組みという時間軸に対して、世界のサッカーの状況という空間に対して、どういう位置付けだったのかもよく分かるし、改めてあの解任はW杯の結果によって正当化されるものでは全くないなということがよくわかる。