やしお

ふつうの会社員の日記です。

2021-07-29から1日間の記事一覧

平野久美子『テレサ・テンが見た夢』

https://bookmeter.com/reviews/99999811 テレサ・テンは、母親経由で大好きになった。単に「歌謡曲の歌手」ではなく、その生涯は台湾・華人社会の歴史と強くリンクしている。父親は共産党に敗れ台湾に渡った国民党の軍人で、貧困の中で育つ。偽造旅券事件も…

磯田道史『近世大名家臣団の社会構造』

https://bookmeter.com/reviews/99999790 武士と一口に言っても、内部は侍・徒士・足軽の3層構造になっていて、各層の経済構造や世代交代・階層移動の様子は大きく異なっていたという。それも江戸時代の初期か後期かでも変化がある。一つの家・人物など個別…

半沢隆実『銃に恋して 武装するアメリカ市民』

https://bookmeter.com/reviews/99194576 アメリカの銃規制反対派の言い分を紹介する本。そういうロジックになっているのかと面白かった。「国家権力に一定の縛りをかけて市民社会を守る」が民主主義のベーシックな考え方だという理解はあったけど、それが「…

齊藤忠光『都道府県と市町村の成り立ち』

https://bookmeter.com/reviews/99194530 日本の地方行政区分を古代~現代まで時間軸に沿って概説する本。主に明治期の藩→県への編成の変遷や、市町村体制が形成されていく過程がメインで扱われている。なぜ全て県ではなく都道府県の4種類あるのかとか、「郡…

中川淳一郎『電通と博報堂は何をしているのか』

https://bookmeter.com/reviews/98946499 広告代理店(特に電通)の、ブラック、中抜き、利権などのネガティブイメージが生じる構造が少しわかった。広告の仕事がもともと明確なゴールを持ちづらく「際限なく時間をかけられる」ため、長時間・大人数をかけが…

和田泰明『小池百合子 権力に憑かれた女』

https://bookmeter.com/reviews/98946483 炎上しそうな案件を見つける→問題を言い立てて炎上させる→正義・大義名分の側にポジション取りする、という一連の動きが小池都知事はめちゃくちゃ上手くて、そのサイクルを躊躇なく回せるので、ポピュリズムが成立し…

浦賀和宏『殺人都市川崎』

https://bookmeter.com/reviews/98946429 気付いたら人生の3分の1以上を川崎市で暮らしていて、土地へのご挨拶みたいな気持ちで本作を手に取った。この小説でいう「川崎」は、川崎市ではなく川崎駅以東ないし川崎区で、武蔵小杉が対局に位置付けられる、とい…

富岡多恵子『漫才作者 秋田實』

https://bookmeter.com/reviews/99999763 現代の漫才が形成されてきた過程の中で、漫才師ではなく漫才作者として大きな役割を果たした秋田實を、詩人の富岡多恵子が描く本。(富岡は上方お笑い大賞の審査員を務めていて、審査員長が秋田實、という縁がきっか…

小倉磐夫『カメラと戦争』

https://bookmeter.com/reviews/99999725 単純な国産カメラの戦後発展史というより、色んなアイデアが現れて、消えるものもあれば残ったものもあるし、商品化されなかったものもある、そんな歴史の幅を具体的に見せてくれる本だった。話題も開発者・設計者ば…

蓮實重彦『見るレッスン』

https://bookmeter.com/reviews/98946402 蓮實重彦が『シン・ゴジラ』をバッサリ否定しているのを見て、その立場だと当然そうなるよね、という気持ち。みんなが面白いと肯定した「官僚のやり取り」も「あんなのない方がいい」と切り捨てている。映画という形…

稲葉義泰『ここまでできる自衛隊』

https://bookmeter.com/reviews/98946375 自衛隊の活動が、各種ルール(国際法・憲法・自衛隊法)でどう縛られているか・根拠づけられているかを解説する本。装備や組織体系を解説する本はたくさんあるけど、この種類の本はちょっと珍しい気もするし、まさに…

架神恭介・辰巳一世『完全教祖マニュアル』

https://bookmeter.com/reviews/98946213 読んでいてふいに高専の美術部で部長をしていたことを思い出した。部長の私を含めて部員2名で、毎年一応勧誘はしていたけれど、ほとんど入らず、入っても定着しなかった。当時、部の活動は自由で縛りがないことを美…

小林秀雄『モオツァルト・無常という事』

https://bookmeter.com/reviews/99194612 天才の描き方のお手本みたい。読んでいるとモーツァルト、西行、源実朝といった人物やその作品が本当に素晴らしく、史上の宝物のように思えてくる。ただ、反証可能性がないというか、批評として開かれているという感…