やしお

ふつうの会社員の日記です。

松岡圭祐『小説家になって億を稼ごう』

https://bookmeter.com/reviews/104157434 「宝くじの高額当選者に配られる戒めの冊子、そのベストセラー作家版」が本書のコンセプトの表現として一番しっくりくる。「舞い上がらない」「自分の仕事に専念する」「不遜な態度を取らない」「過大な要求はしな…

武光誠『知っておきたい日本の神話』

https://bookmeter.com/reviews/104157372 どの神がどの神の子供で、その神はこの神に敗れたなどの神話は、神話が整理された時点の権力者(天皇家)の正統制の保証や臣下の関係、一族の勢力関係などを反映している、ということがよく分かる。古事記・日本書…

ロラン・バルト『表徴の帝国』

https://bookmeter.com/reviews/104157306 俳句のことを「時間のなかに刻まれた軽い傷跡の一種」と言われると、あんまりにもぴったりした言い方に思えてくる。日本語、書、パチンコ、地図、文楽、顔、等々、確かに日本の様々な事象を題材に色々論じられてい…

村木厚子『日本型組織の病を考える』

https://bookmeter.com/reviews/104157284 検事が、事件の真相解明などではなく、起訴→有罪にすることに強くインセンティブが与えられているというのは、検事本人のみならず社会全体にとっても極めて不幸なことだ。逮捕起訴された経験談だけでなく、本書は、…

辻井喬『茜色の空』

https://bookmeter.com/reviews/104157258 元首相・大平正芳の生涯を見ると、自民党宏池会の「大蔵省の官僚が時代状況に要請されて国会議員となってグループを形成していった」という源流がよく分かる。「政治家になりたくてなった」わけでも「親が政治家だ…

鏡リュウジ『タロットの秘密』

https://bookmeter.com/reviews/104157224 神秘的なわけでもない賭博・ゲーム用のカードが、どういうわけか「古代エジプトに起源を持ち運命を読むもの」とされていった歴史が描かれる。そうした客観的な経緯を把握しながら、それでもなお「占い」ができるの…

小沢健志『幕末 写真の時代』

https://bookmeter.com/reviews/102521892 150年以上前でもかなり高い解像力で非常にクリアーな写真が残されていて、転倒した感覚だけど、時代劇の俳優を今写したみたいだという不思議な気持ちになった。幕末の時点では人生(場合によっては生命)をかけて、…

高橋昌一郎『フォン・ノイマンの哲学』

https://bookmeter.com/reviews/102521836 「教授が未解決の定理を説明したら5分後に証明を提出してきた」「爆音で音楽を聞くせいで向いの研究室のアインシュタインの顰蹙を買う」「WW2で原爆開発等、米軍・政府の研究に協力し超多忙だが、移動中の列車など…

小島信夫『殉教・微笑』

https://bookmeter.com/reviews/102521784 何年か前に、旅行会社社員が遠足バスの手配を忘れ、しかし言い出せずに、生徒の自殺をほのめかすニセの手紙を学校に送って遠足を中止させようとしてあっさり発覚して全国ニュースになった出来事があった。小島信夫…

林貞年『誰でもできる催眠術の教科書』

https://bookmeter.com/reviews/102521713 リラックスの極端な形態が催眠状態で、催眠術は人をその状態に誘導・維持するための技術体系になっている。極端なリラックス状態=相手を信頼して極度に素直になっている状態だと考えると、催眠術が見せる「不思議…

逵日出典『八幡神と神仏習合』

https://bookmeter.com/reviews/102521683 もともと神は豪族(氏)と紐付いていたので、支配者交代時に不都合があった。普遍的な仏教の方が地方支配に都合が良く、「神様は自分が神様であること自体に苦悩している、それを仏教で解放する」という理屈で仏教…

西尾克洋『スポーツとしての相撲論』

https://bookmeter.com/reviews/102522994 実態を知るほど、大相撲のレギュレーションやプロ団体としての日本相撲協会は、純粋に競技として見るとあまりに不合理・不適格だと感じる。多数の競技者が病気(糖尿病・痛風)と怪我に苦しみ、引退後のキャリアパ…

喜瀬雅則『ホークス3軍はなぜ成功したのか?』

https://bookmeter.com/reviews/104157175 ホークスの事例含め他の多様な成功事例を見ても、「改善を愚直に実行した」「合目的性やコンセプトから逸脱せずにやり切った」という当たり前の話であることが多い。しかし「当たり前をやる」のが極めて難しいので…

海道龍一朗『真剣』

https://bookmeter.com/reviews/102753592 上泉信綱という人物が題材のビルドゥングスロマン。相反する要素が対立からアウフヘーベンへ至る、という構造が幾重にも配置される。剛(神道流)と柔(陰流)の融合・再構築で新陰流が生まれ、マネージャー(武将…

ジェフリー・フェファー『悪いヤツほど出世する』

https://bookmeter.com/reviews/102753498 「高い地位を獲得・維持・拡大するのに適した特性」と「高い地位で組織を動かすのに適した特性」には大きな乖離があって、リーダーは構造的にその緊張関係にさらされる。口当たりのいいリーダーシップ教育が、その…

藤生明『徹底検証 神社本庁』

https://bookmeter.com/reviews/102753422 初詣で・七五三・結婚式や観光地・パワースポットなど「地元の宗教施設」という神社の一般認識と、全国組織の神社本庁が右翼・国粋主義団体というギャップがすごい。地元住民の意向や歴史を無視して神社への人事権…

嬉しかった買い物、コロナこわかった話など2021

さっきまで2020年の年末だったのに、いきなり2021年の年末になっていた。実感としてはその通りだが、振り返るとたしかに色々あった。そういう「色々」も時間が経つと忘れていくので自分のためのメモ。 ただ総じて大きな変化のない一年で、「一瞬だった」とい…

リスクの洗い出しと判断のコツ

会社で係長的なポジションになって3年近くが経った。先日、副係長というか職長的なポジションが新たに設けられ、30歳前後のメンバーが就いた。折を見て彼らに伝える機会があるかもしれないし、3年やってみた知見を自分の中で一度整理しておきたいと思った。…

高卒新人に資産運用を説明する

今年入社の高卒の新人と雑談していて「会社の確定拠出年金のこととか何を選ぶのがいいとか分からない」という。集合研修でも制度そのものの解説はあったけどよく分からず、学校でも習わなかったので、漠然としか分からないと言っていた。 それで「自分はこう…

たった211ヶ月でTOEICスコア500アップ

よく「3か月でTOEIC 〇〇点アップ」といった広告を見かける。羨ましいけど自分は残念ながら短期間での華々しいスコアアップは全然なくて、17年もだらだらかけて結果的に500点強上がって900を超えた。長すぎる。長すぎるけれど、めちゃくちゃ頑張れるわけじゃ…

国政選挙で勝つということ

自民党総裁選と衆院選を控えて、最大野党の立憲民主党も政策アピールに入っていて、その政策が刺さらない、粒度が変、センスがない、安保も経済もない、と左右両サイドからネットで叩かれる光景をよく見かけて、ちょっと思ったことのメモ。 選挙戦 「選挙で…

新型コロナワクチン時系列

現在のワクチン 現在世界で承認している国が多いものは以下の8種類ほど。 日本はファイザー、モデルナ、アストラゼネカの3種を承認済み、J&Jが承認申請。【mRNA】 ファイザー(米)(ビオンテック:独) モデルナ(米) 【ウイルスベクター】 アストラゼネカ(英)(オ…

「オリンピックを楽しんだ奴が金を払え」へという個人間対立の深まり

新型コロナ対応における政府の「不作為犯」ないし「未必の故意」によって、個人間の無用の対立が発生した。「オリンピックでかかった金は、テレビ観戦で楽しんだ奴が払え」という言説をここしばらくネットでよく見かける機会があり、それもこの一種だった。…

平野久美子『テレサ・テンが見た夢』

https://bookmeter.com/reviews/99999811 テレサ・テンは、母親経由で大好きになった。単に「歌謡曲の歌手」ではなく、その生涯は台湾・華人社会の歴史と強くリンクしている。父親は共産党に敗れ台湾に渡った国民党の軍人で、貧困の中で育つ。偽造旅券事件も…

磯田道史『近世大名家臣団の社会構造』

https://bookmeter.com/reviews/99999790 武士と一口に言っても、内部は侍・徒士・足軽の3層構造になっていて、各層の経済構造や世代交代・階層移動の様子は大きく異なっていたという。それも江戸時代の初期か後期かでも変化がある。一つの家・人物など個別…

半沢隆実『銃に恋して 武装するアメリカ市民』

https://bookmeter.com/reviews/99194576 アメリカの銃規制反対派の言い分を紹介する本。そういうロジックになっているのかと面白かった。「国家権力に一定の縛りをかけて市民社会を守る」が民主主義のベーシックな考え方だという理解はあったけど、それが「…

齊藤忠光『都道府県と市町村の成り立ち』

https://bookmeter.com/reviews/99194530 日本の地方行政区分を古代~現代まで時間軸に沿って概説する本。主に明治期の藩→県への編成の変遷や、市町村体制が形成されていく過程がメインで扱われている。なぜ全て県ではなく都道府県の4種類あるのかとか、「郡…

中川淳一郎『電通と博報堂は何をしているのか』

https://bookmeter.com/reviews/98946499 広告代理店(特に電通)の、ブラック、中抜き、利権などのネガティブイメージが生じる構造が少しわかった。広告の仕事がもともと明確なゴールを持ちづらく「際限なく時間をかけられる」ため、長時間・大人数をかけが…

和田泰明『小池百合子 権力に憑かれた女』

https://bookmeter.com/reviews/98946483 炎上しそうな案件を見つける→問題を言い立てて炎上させる→正義・大義名分の側にポジション取りする、という一連の動きが小池都知事はめちゃくちゃ上手くて、そのサイクルを躊躇なく回せるので、ポピュリズムが成立し…

浦賀和宏『殺人都市川崎』

https://bookmeter.com/reviews/98946429 気付いたら人生の3分の1以上を川崎市で暮らしていて、土地へのご挨拶みたいな気持ちで本作を手に取った。この小説でいう「川崎」は、川崎市ではなく川崎駅以東ないし川崎区で、武蔵小杉が対局に位置付けられる、とい…