やしお

ふつうの会社員の日記です。

ラデュ・ミヘイレアニュ「オーケストラ!」

を観てきました。今年に入って映画館で観た映画はこれで30作目。もっとたくさん観られたらいいんだけど……


 コメディ映画として得体の知れない過剰さ――救急車のサイレンやパリへの異様な思い入れやマシンガン等々――がそこかしこに見られて面白かったのですが、最後のコンサートの場面がどうしようもなくガッカリしてしまう。イーストウッドが「インビクタス」で見せた、余計なことをしなくてもフットボールの試合をきちんと見せさえすれば成立するという確信を思い出すと、自信がなかったんだろうな、怖かったんだろうな、と同情してしまう。コンサートの映像だけだと観客に飽きられるんじゃないかな……とアンヌ=マリーの出生譚やエピローグを挟み込まずにはいられなかった。あるいは、アンヌ=マリーのヴァイオリンを母のそれとオーヴァーラップさせたい、拍手の中のアンドレイとアンヌ=マリーのストップモーションで映画を終わらせたい、という意図がまずあって入れ込んだということであれば出生譚は曲の前で説明しておいて、エピローグは全て捨てるのが正しい処理の仕方のはずだ。最後のチャイコフスキーをきっちり撮りきる覚悟がないというのはかわいそうなことでした。