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電車の中で笑ってしまって大変だった。「あとがき」に来てようやくホッとしていたら<「江利子と絶対」は(略)その雑誌が女子中高生に向けたものだったので、マイルドさを意識して書いてます。>とか言い出してて噴き出してしまった。油断してた。ボンレスハムみたいな犬やDQNカップルとの電車内バトルを書いておいてマイルドだなんて言ってくれるぜ。
「生垣の女」で猫が電子レンジに入れられる場面があって、ふと町田康の「くっすん大黒」でドラム缶の中に亀をどんどん入れて燃やすと亀がポンポン爆発するという場面を思い出した。それだけでなく、本谷有希子の『生きてるだけで、愛。』を読んでいたときにも「くっすん大黒」と似ているなあと思ったのだった。色んな変な人たちが出てきてそのかかわりの中ですっすっと舞台が移動しつつ物語が進んでいく様が。ただ決定的に違うのは
亀:名前がない、死ぬ
猫:名前がある(菊正宗)、生きている(ぎりぎりで取り出されて、その後おかしくなる)
どちらも「生き物は大切にしなきゃいけない」という道徳的な観念(?)とのズレを生きているわけだけれど、「くっすん大黒」の亀たちは抽象的な存在として存在し、「生垣の女」の猫は具体的な存在として存在する、この違いがこの二人の作家(がやりたいと思っていること)を決定的に分けている。
ただどちらもこの人たちにとってかなり初期の小説なので、これを取り出して分かった気になるのは早すぎるのでよくよく自制しないと駄目だ。
- 作者: 本谷有希子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/08/11
- メディア: 文庫
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