http://book.akahoshitakuya.com/cmt/12356386
タイトルからまた人称=フィクション性の問題が主題かなと、うんざりして読み始めたら全然違ってた。もっと静かに過激。私の不在については一切無視して(問題化せず)、冴えた認識も見せず、紋切り型を相対化する戦略すら捨て(会話、例えば「わあ、すごーい。海だ。」「ええ、海です。」(p.144)等に名残はあるが)、サスペンスも抑制し、ひたすら透明に等距離で語り続ける。これはスタイルありきじゃなく、異物(留学生、男子、物の紛失)が分かり易いドラマを伴わずにゆっくり溶けるように受け入れられる様を描くために採用されたんだ。
まあ、それで読んでて面白いのかと言われるとよくわかんない。ただ
・ああ、これを書くのは相当しんどいだろうなあ、よう書いたなあ、と感動する
・ずーっと読んでると電車で窓の外の景色をぼんやり見てるときの楽しさがある
でも近頃、この2つめの楽しさだけでもう満足してしまおうという気になるの。
- 作者: 青木淳悟
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/06/14
- メディア: 単行本
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