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実質上下巻なのになんで「1」「2」になってるんだろうと思ってたけど読み終えてみると、本当にどこまでも続いていきそうに開いているのでなるほどねって感じでした。そうして小説全体も、出来事も、作中人物の認識も、会話も、解決といったものを回避して至らない。例えば父親はいつの間にか死んだことになっているし、夕香は矢崎先生とも前畑先生とも何となく結婚しないし、朝子も何となく八潮と別れている。どんどんズレて流れていってしまう。ところで母親の鬱陶しさお節介さがものすごくリアルなので苛々しながらつい笑っちゃう。
でもこういう風に、ある種の解決を与えずに小説として成立させる(というか面白いと思わせてくれる)には、人間関係だったり土地だったり服飾料理その他生活のあれこれを、これだけ具体的にあっちこっち絡みあわせて書かないといけないんだなと思うと、かえって大変だわ。

- 作者: 金井美恵子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1999/11/19
- メディア: 文庫
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