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いったん自分の世界がリセットされるような気持ち良さ。作中人物のこだわりと無関心が普通とはズレてて。えっそこスルー!? そこ気にするとこ!?って驚きが鮮やか。そしてその感覚が相対化されず地の文や文体にまで波及する。彼らの思想が体系的に語られはせず、何か彼らの生活に根ざした泥臭くて異様で真剣な思考や行動がひたすら眼前にあるリアル。夏の暑い日に物置小屋に潜むばばあ、飛行機から農薬が散布される中で田んぼに立つじじい(それで死ぬ)。序文も変。著者が庶民のエピソードを語って相手が「庶民ですねー」と答え続けるっていう。
そういえば「楢山節考」でも岩に自分の歯を打ち付けて折ろうとするばばあが出てくるよね。
そういうのを当然みたいな顔して立ち上げる。淡々と語る。猛烈に気持ちいいんだよ。
- 作者: 深沢七郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1970
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