http://book.akahoshitakuya.com/cmt/22203904
ある妙な感覚や常識外れの思考や認識を、そのまま語る小説をもう面白いとはそれほど思えなくなってるんだ。原因と帰結、偶然と必然が逆転する奇妙で、しかし本人には全てが確実と思える感覚や、それに満ちた中に忽然と完全に客観的な事実(ババンギダや古墳)を置くことで逆に存在の異様を際立たせる仕組みを、確かに面白いと感じつつ、本人が逆転への自覚を語ってしまうせいで突き抜けない。こっちが分かって仕掛けてると分かってくれるだろうかという読み手への退屈な忖度を完全に捨て、好き勝手にしていいはずの人がそうせざるを得ない病因は何。
- 作者: 磯崎憲一郎
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2012/05/08
- メディア: 文庫
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