http://book.akahoshitakuya.com/cmt/22602253
虚構の心理より主題論的統一の方が重要という指摘:p.180。これはどちらの読み方がより小説に触れているかという話かな。心理や思想、作者の実体験、物語の起伏等々を読むのは、それらが小説を従属させ(言葉を捨て)て成立する点で小説から離れる。主題を読むのも基本同じだけど、ひたすら実際の言葉を読み続けさせる=無限に離脱が許されないために小説に留まる。前者は距離を残して停止、後者は無限に近づく運動みたいな。本書はそれを実践しつつ、その上終盤に向かって主題論的統一のめくるめく絡み合いが広がるスペクタクルな構成で憎い。
- 作者: 蓮實重彦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/09/11
- メディア: 文庫
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