やしお

ふつうの会社員の日記です。

リビング・ヘル

 たまに自宅の風呂やトイレにいるときに、これが自分専用の風呂やトイレなのかと思うと、とんでもないことみたいな気がして、ぼんやりしてしまうことがある。
 それから風呂なりトイレなりを出て、台所の前に立って、これだけの空間を自分が占有しているのは、ひどい贅沢というか、なにかずるいことをしているような気がしてたまらなくなることがある。


 5ヶ月前にひとりぐらしを始めるまでは実家や寮でしか生活したことなくて、自室はあってもそれ以外は共用だったからまだ慣れていないだけなのかもしれない。実際、居間にいるとあんな気は起きない。
 でも入浴中なんかに、ふと、なにか罪悪感みたいなものを感じてしまうことがある。


 それでぼくが、「まん、まん、満足! いっぽんまんぞくぅ!」とCMソングをダミ声で歌いながら、全裸で(風呂上りなので)部屋まで踊り歩いたりするのは、そういう罪悪感をまぎらわすためなのかもしれない。いや、関係ないのかもしれない。関係あろうがなかろうが、歌い踊っているのである。
 最初は楽しい。草なぎの気持ちで楽しい。
 でも部屋についた後も裸で踊っていると、だんだん、こんなことを独りでするために生きてきたんだろうかと思って、涙がでる。ぽろぽろ涙がでて、もうあと3年ちょっとで30歳なんだと思うとたまらなくなる。でもやめるわけにはいかないから、「まん、まん、満足! いっぽんまんぞくぅ!」って歌う。泣きながら、こんなの地獄だよ。ひどすぎる。