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柄谷行人による中上健次への追悼に感動してるからって、感傷に堕しているなんて言われたくない。小説家やその作品として語ってきたのと同じやり方で、その括弧を突然捨て去って、人間としてどういう関係を周囲や世界に、何よりこの自分に与えて存在していたかを語るという、態度の一貫性と唯一許した特別さに感動してるんだ。この人が「『天才』という言葉を、私は中上健次にだけは使いたい。」と言う時、どういう意味で使い得るのかを明らかにした上で使う一貫した態度と、この言葉を唯一中上にだけは使うことを自分に許した特別さのことだよ。
- 作者: 柄谷行人
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/09/09
- メディア: 文庫
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