http://book.akahoshitakuya.com/cmt/33072032
書くことについて、似てしまうことについての小説なのは解説の通りだけど、そうしたコンセプチュアルな小説がやや退屈なのは、コンセプトに従属しているように見えてしまうことで、だからむしろミルをひく重さの変化やガラス玉で遊ぶ少女の反復(これは自分自身に似ることとも言えるが)やフェリックスの手紙の可笑しさと悲哀などそこから外れる瞬間に歓びを覚えるわけだし、どれほどテーマやコンセプトで捉えてもひたすら零れ落ちてしまうほどの圧倒的な豊かさに接する体験という点でやはり、例えば『ロリータ』の方が優れていると信じられるんだ。
- 作者: ウラジーミルナボコフ,貝澤哉
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2013/10/08
- メディア: 文庫
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