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蓮實重彦の批評を読むことは、作品や作家がまるで異なる相貌で生まれ直すのを目撃する体験が約束されるということだ。主題の統一性やその意義の指摘などが徹底的に作品の言葉に沿って進められた先に、ふいにそれらが統合されて作品として結実する様が示される。このスペクタクルを目にするともはや作品をそうとしか読めなくなる。でも実際は後書きで書かれるように、これは発見されて事足りる真実ではなくて、優れたフィクションが常に網から免れ続ける性質の上に成り立つ一つの創造なんだ。その意識の上で書かれるからこそかえって真実味を帯びる。
- 作者: 蓮實重彦
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1985/11
- メディア: 単行本
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