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物語がないというか、出来事があまり因果律的に組織されていないので、意味に還元されずに出来事そのものとして迫ってくる。途中で挿入されるコラージュもそうで、この感覚が好きで、存命中の小説家で一番新作を楽しみにしてる。物語がないと言っても出来事をただごろごろ並べて事足りる話ではなくて、因果律以外の選択や排除の論理が働くわけで、例えば誰かがいなくなるという反復もその一つかもしれない。剥製、死体、または姿を消して声や音だけが意味を欠いて残る。そうしたイメージが一編を越えて立ち騒いでくるとき短篇集を読む楽しみがある。
- 作者: 中原昌也
- 出版社/メーカー: 幻戯書房
- 発売日: 2013/09/27
- メディア: 単行本
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