やしお

ふつうの会社員の日記です。

野矢茂樹『入門! 論理学』

http://book.akahoshitakuya.com/cmt/34491212

これが命題論理ですはい覚えて帰ってねみたいな説明じゃなくて、公理一つ一つを日常的な感覚とどう同じでどう違うか辿って、体系の位置付けを教えてくれるから素晴らしい本だよ。特に排中律(に限らずたぶんトートロジー全般)を正しいと認めるからこの体系が成立するだけだと相対化してくれるとこ。演繹的な手続きの正しさは公理の選択によって生ずるという話だけど、じゃあなんでその主観的な選択を多くの人が自然にするのか、客観性はどこから立ち上がるのかという話を期待して実は読み始めてたんだけどそれは本書の対象外だった。でもいい本だ。


 命題論理を丁寧に導入してくれるのもありがたい本だけど、そこから何を公理として導入していくと、命題論理⊃述語論理⊃自然数論と拡大していくのかもさらっと見せてくれたのは読んでてあー、そうなってたのかーと思って面白かった。
 あと今回導入した「標準的な命題論理」の公理たちは、形式的アプローチと内容的アプローチが近くて直感的に理解しやすいからという理由で選ばれたと書かれていて、これ以外にもできるよと触れられていたので、そこまで言うならついでに一番シンプルな公理たちの書き方をするとどうなるのかもちらっと見せてくれたらおおーってなったかもしんない。


入門!論理学 (中公新書)

入門!論理学 (中公新書)