そうなの。母(62)がiPadでTwitterやる時代に突入したの。
インターネットやってみたいって。ツイッターやってみたいって言うから。パソコンなんて今さら無理だし(ケータイだって大変なのに)、まあiPadならって。
それでいきなり「80歳です」とか嘘ついてるの。ほかのツイートもよくわからない。だっていつも母から送られてくるメールだってよくわかんないんだもん。
もちろん日本語だし、使用されている単語は全てわかるよ。だけど、いったいだれの、何の話なのかがわからないんだ。ひどいときはぼくの知らない自分の知り合いの話をいきなり、予備知識ゼロでぼくにするんだよ。
ふつうぼくらが何かを相手に伝えるときって、相手の知ってる(と想定する)高さと、自分が伝えたい高さの差分にはしごをかけてあげるわけ。そうしないと理解してもらえないからね。だけどそうじゃない。母はぼくらが立ってる地面じゃなくて、いきなり宙にはしごをかけるんだ。ぼくらは宙に浮かんだはしごを見上げて、ただ呆然とするしかないじゃない。
そんな空中のはしごを世界に向けて発信している! オバマも見てるかもしれない、あのツイッターに!! オバマー。オバマー。
これはすごいことだよ。
最近のインターネットはバカがあふれてるなんて怒ってる人もいるね。
このまえも退職エントリなんて書くな、「はっきりいって個人の日記レベル」だってツイッターで怒ってる人いた。
とんでもない!
個人の日記を他人が読める時代がきたんだ! 今までだったら見ることもなかったもの、表現しようだなんて思わなかった人たちの表現を見られるようになってきたんだ。だから、ツイッターで怒ってる人ふくめて見てるとうれしくなっちゃう。
「自力でインターネットの設定とかできる」って敷居をまたげる人だけの世界じゃない。敷居がどんどん下がってきてる。ぼくはもっとどんどん下がってほしい。かんぺきバリアフリーならどんなインターネットになるのかなってわくわくする。
今までだって本や旧インターネットで他人の体験や思想を見せてもらうことはできた。でもそんなきれいなのじゃない、日本語のこんな使い方があるのかってびっくりするような、ぼくらが論理だと信じていたものがあっさり打ち砕かれるような、そんなのを見せてくれるんだ。思想書とかが壊してくれるのとは逆方向に破壊してくれる。
たとえばだけど、ぼく↓とか大好きだな。
久しぶりにこれはひどいという内容のブログを見つけた - ごはん食えよ!!
http://d.hatena.ne.jp/yo-network/20130709/1373334040
これ見たとき、ああそうだ、ぼくがインターネットで見たかったのはこういうのだって思った。
何事かを真剣に考えて、真剣に表現されて、そしてぼくの理解を完全にオーバーしてる、自分が持ってる論理体系とはまるで異なる体系から出力されている。ほんとにこういうのの場所たまにおしえてくれてはてなブックマークえらいね。
「人間観察が趣味なんですぅ」なんて生ぬるいことじゃないよ。超越的な立場で観察者としてふるまって、バカをバカにして安心する方がバカだよ。自分が見てた世界がぜんぜん当たり前なんかじゃないってこと、問答無用でおもい知らされる体験なんだこれは。
そうやって現れてくるこのインターネットを嘆くなんて、とんでもない! ぼくは愛しているよ!
だけどもっときれいなインターネット、秩序ある世界を求めてる人もいるね。
ヤフーニュースのコメント欄だって前はあんなむちゃくちゃだったのに、ちょっとまともな意見が掲載されるようシステムが変えられた。きれいになっちゃった。がっかり。
抑圧しないでほしいよ。
そうやって自分の目の前だけをきれいにしたってだめだよ。ホームレスを公園から追い出したって彼らが職に就くわけじゃないのと同じだよ。だったらまだ、目に見えるほうがいいもんね。あの昔のヤフコメ、見てるとイライラするヤフコメを見たいんだ。
たしかに抑圧しないと実害が出ちゃうことだってあるかもしんない。だけど必要以上の抑圧はごめんだ。なんでもかんでも「おれが不愉快だから」なんて理由で抑圧しないでほしい。インターネットにだって愚行権はあってほしいよ。
知の爆発よりもっとすごい。無知の爆発がきたんだよ! ぼくらの目の前に! これが21世紀だよ。車が空飛ぶよりずっとすごいんだから。