http://book.akahoshitakuya.com/cmt/40510061
何でもないようなことが書かれているのに読んで気持ちいいのはとても貴重なことだ。会話、風景、認識を描く中で意味内容で特異なことを書くという安易さに流されず、言葉のだぶつきも抑えてひたすら適切で必要な言葉を選び続ける姿勢が貴重だし、読んで新鮮だ。会話と風景が恣意的でなく結びついているというか、いずれかが従属することなしにお互いを喚起していくようにあるのが気持ちいい。音生の突発的な行動で場面を変えたり美貌でお話を誘発したりして都合いいけど、仮にそんなのなくたってこの小説は成り立つだろうなという確信に満ちている。
- 作者: 柴崎友香
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2005/11/01
- メディア: 文庫
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