http://book.akahoshitakuya.com/cmt/40621330
表題作は時間軸が現代・江戸・平安と交錯してしかも語り手が解釈する定信、定信が解釈する光源氏という参照関係で、さらに定信も源氏も生涯の中の時間がふいに飛んでいく。前作の「私のいない高校」をもっと絞り込んで推し進めたみたいな。一方「鎌倉へのカーブ」は前々作の「このあいだ東京でね」を推し進めてて、根本的には夫婦関係を語るのだけど、人が交通と地理で規定されるので、転倒して交通や地理の話をひたすら続けるという。小説への思い込みをリセットしてありがたいと思いつつ、やっぱコンセプチュアルな小説は読むとあまり楽しくない。
全く余談だけど、「鎌倉へのカーブ」で詳細に語られる大船・戸塚駅間が自分の生活区域もろかぶりで、語られる店や道が明確に映像として思い浮かび続けるというのは今までにない経験でかなり不思議だった。
- 作者: 青木淳悟
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2014/07/16
- メディア: 単行本
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