やしお

ふつうの会社員の日記です。

ニセ生前葬をやった

 新卒配属以来7年いた職場から異動することになった。異動する前って生前葬みたいだなと思った。
 いろんな人に挨拶したり、この際にってあれこれいろんな話をしてく。これまでのことを感謝したりされたり、評価したりされたり、これからのことを語ったり。いつかそんな突っ込んだ話ができればいいなと思ってた人たちとどんどん話をしてく。そんな風に伝えたいと思える相手がいることにも感謝する。
 突然非日常に切り替わる。
 もう異動しちゃうというエクスキューズがあるのと、実異動まで1週間もなくあわただしいという事情がそうさせている。


 言い渡されてからいなくなるまで4日しかない。よっしゃ! 一番衝撃の少ない、最高の引き継ぎをするぞ! となんかテンションが高くなってるから、動きも軽快になってる。余命がはっきりすると頑張れる。
 広げてたいろんな仕事を急いでパッケージングして、いろんな人に振り分けてどんどこ渡していく。遺された人々への遺言みたいだ。
 配属されたからこれまでを振り返ってみたりもする。人生の回想だ。
 なぞの多幸感にも1日だけ包まれてた。最初の配属がここでよかった、職場の人たちもよかった、上司が4年でのべ5人変わったのも今思えばよかった、このタイミングでの異動もよかった、異動先もよい、みんなみんなありがとうー、鳥さんもお花さんもみんなみんな、大好きだょ? 風がきもちいい。死ぬ間際もこんな感じだといいね。
 そして、自分の部署やよその部署の人たちがびっくりしたり、彼が抜けちゃうと大変だねとか、残念だねとか言ってくれてるのを聞いて、そうか。それなりに存在意義はあったんだなと、こんなにはっきり他人のリアクションを見ることもないので、なんだか嬉しくなる。死ぬ前に死んだあとの反応を見られるんだから生前葬みたいな感じ。


 生前葬なんてやったことないから、ほんとに似てるのかどうか知らないけど、いなくなることを想定すると、こういうことが起きるんだなと思って楽しかった。


 いや、1フロア下の部署に異動するだけなんだけどね。