やしお

ふつうの会社員の日記です。

佐々木敦『ニッポンの音楽』

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佐々木敦は、作家や作品を最大限豊かに捉える批評家でも、ある一面から徹底的に分析する研究者でも、作品がどう成立しているのか実証的に把握する実作者でもなくて、とにかく広く取り込んでくウォッチャーなんだ。本書は大部分を落として物語を構成するというコンセプトで、それは研究者的な軸設定が必要になるはずだけど、ウォッチャー的な資質に阻害されてぼやけちゃう。新書じゃなく500p位の文庫で洋楽・小説・思想・世情もどんどん巻き込んで多量の軸を導入して整理せず記事的に書いていくのが著者の特性にあった形式じゃないかと思ってる。