http://bookmeter.com/cmt/47197307
コンテクストという概念で俳優の言語的・身体的なズレを語っていて、今まで映画でほとんど俳優の自由にさせているような、例えばたむらまさきの「ドライブイン蒲生」のような作品がたまらなく魅力的なのは何だと思ってたけど、これは俳優のコンテクスト側に寄せて脚本・演出家側のそれを抑制することで強力にリアルを現出させて「紛れもなくこの人たちが生きている」という感覚を与えているってことかとふに落ちる気がした。構想、劇作、演出、上演までどんな論理が背後に流れているかを言語化してて、演劇に限らず漫画、小説、映画にも通じる話だ。
あと劇団という組織内でヒエラルキーや年功序列が発生するのはなぜか、またそれでどういう弊害が発生するか、ではどうやってそれを抑制するシステムを構築するか、そんなことが具体的に書かれててとても面白かったし、25歳のときに考えたってのもすごい。
俳優に対する演出家の位置関係についても論理的な帰結としてどうなっているのかを語っていたり、とにかく「これはいったい何なんだ」という意識と抽象力の高い人だった。
- 作者: 平田オリザ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/10/20
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