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不穏さが積み重なる、小さく噴出してついに目の前で炸裂する、それを観念的でなく描くだけでも大変だけど、そこから異常と正常、狂気と正気を転倒させて確かにこちらがリアルなのだと紛れも無く納得させるんだから凄いよ。しかも作為的に逆転させたように見えないのはケンジが最初からこの国の地に足がついてなさを嫌悪する一貫性の上で生じているから。フランクも罰を与える存在として固定されてなくて、たまたま殺さなかっただけって不確実性を持って両面的。でもノリコが死なずに済んだのはやっぱり単純に怒った態度が相対的に「正しい」からだ。
こんなのが当時、新聞連載されていたってのが驚きだよ。
- 作者: 村上龍
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 1998/08/01
- メディア: 文庫
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