http://bookmeter.com/cmt/51535049
これすごく怖い本で、たぶん普通に何かを語ると即、本書が指摘する「それじゃ全然ダメ」に絶対引っ掛かっちゃうんだよ。現象を語るのに体系を立てると、それは体系について語ってるだけで現象そのものを見てないって指摘で、これは聡明であろうとすれば確実に抵触する。じゃあどうするかっていうと、騙されたフリしてとにかくそれでやってみる、どっかでずっと疑いながら徹底してやるとどこかで矛盾にぶつかる、その地点まで行ってそれが制度だってことを露呈させるのが批評なんだって話だ。でもその地点まで徹底して進めるってのが実際困難なんだ。
そういうはまり方のよくある例として「排除と発見のディスクール」ってのが挙げられてて、本人が自分の言説について(大丈夫かな? はまってないかな?)ってまずチェックするのにすごく便利な視点だけど、この視点を使って「こいつは『排除と発見のディスクール』に嵌まってるからアウト!」みたいなことを他人の言説について言い始めると、それはその通りだとしても、もう方法化して硬化させた時点でもう批評たり得ないっていう。
- 作者: 蓮實重彦
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1985/12
- メディア: 文庫
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