やしお

ふつうの会社員の日記です。

マルグリット・デュラス『破壊しに、と彼女は言う』

http://bookmeter.com/cmt/52723653

すごく抽象度の高い作品で、時代にリンクした風俗や動作もほぼ描写されないし、恋人/夫婦/友人って関係性も解体されてる。森に執拗に誘う方/頑固に断る方とあって、でも森に何があるかは何も語られない、それ自体が重要性を持つから重要なんじゃなく、人に欲望された(拒絶もマイナスの欲望)ものが重要になるっていう。会話がスリリングになるのも、接近してはいけないものに接近するって形式さえ成立すれば対象なんか何でもいいって言われてるみたい。男女差が一見残ってても、もう通念の性差じゃなく役割上の機能として置いてあるだけなんだ。

破壊しに、と彼女は言う (河出文庫)

破壊しに、と彼女は言う (河出文庫)