やしお

ふつうの会社員の日記です。

手嶋龍一『外交敗戦』

https://bookmeter.com/reviews/64741840

イラククウェート侵攻→湾岸戦争終戦という一連の流れの中で、日米欧中東の政治家、官僚、外交官、企業などの膨大なプレイヤーがいつどう判断して動いたのかを三人称多元視点の形式で描く。資金面だけでなく、インテリジェンスや他国の外交官保護の面でも日本は(というか個別の外交官が)国際社会に相当な貢献を果たしたという埋もれがちな姿も描かれる。それでも最終的に「人を出さない癖に金まで出し渋る国」のイメージを日本は押し付けられていくわけで、適切なタイミングで適切な情報を発信しないと一方的に悪の側に押し込められてしまう。


 この「情報を上手にしっかり出さないと悪の側に押し込められる」というのは、特にアメリカの世論・議会に「自分は正義の側だ」としっかり納得させないと取り返しがつかなくなる、死活的に重要なポイントになるんだ、ってことを高木徹『国際メディア情報戦』を以前に読んだときに思ったし、ここでもそれが起きている。

外交敗戦―130億ドルは砂に消えた (新潮文庫)

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