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世阿弥ってちょっとイエスに対するパウロの立ち位置に似てて、観阿弥がすごかったので体系化して文書に定着させてジャンルの発展に貢献した一方、柔軟性を失わせた側面にも寄与してるみたいな。ただ超えられない人として観阿弥を絶対視してはなくて、本人も能役者・作者だから自分で作り上げていてそこに柔軟性がある。幽玄の方向に精緻化したその後の能に対して世阿弥時点では幽玄と物真似のバランスで考えていたり、初心・花・序破急といった概念が今の通念より広かったり、舞や曲を作ってから詞を合わせるのも現代の作曲と近かったりして面白い。
世阿弥―花と幽玄の世界 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)
- 作者: 白洲正子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1996/11/08
- メディア: 文庫
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