https://bookmeter.com/reviews/66555903
「甘え」という日常語のない外国はある面で息苦しいという指摘がある。現象としては存在していても、それを捉える概念=言葉がなければあたかも存在しないように扱われてしまう。甘えに起因する苦しみや悩みがあってもそれを適切に対象化して対応することができない。本書は、甘えを他者に求める場合や、甘えが達成されない場合、甘えがエスカレートする場合、甘えをきちんと経験せずに成長した場合……と甘えという軸から様々な心理的な機序を説明して、日本社会に特徴的な現象を広く説明する試みになっている。
途中で中根千枝のタテ社会論への言及がちらっとあって、基本的にタテ社会論(資格と場、という概念から捉えれば日本社会のいろいろな特徴を説明できるという)と同じ結論を、「甘え」という概念からも説明できる、という話をしていて、実際にそういう本になっている。ちなみに同じように、「受信者側負担システム」という考え方からも同じように説明できるはずだ、と前々から思ってるけど、それをそのうちちゃんとした形で整理してみたいなあと思いながら、思ったままになってる。
- 作者: 土居健郎
- 出版社/メーカー: 弘文堂
- 発売日: 2007/05/15
- メディア: 単行本
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