やしお

ふつうの会社員の日記です。

岡田尊司『マインド・コントロール』

https://bookmeter.com/reviews/86305119

マインドコントロールと「効果的な訓練」は紙一重なところがあって、外部の情報を遮断し、一つの目的に集中させる環境が重要な点では、テロ組織でもスポーツクラブや全寮制の進学校でも同じだという。他にもマインドコントロールを受けたり、逆に施したりしてしまいやすいパーソナリティが色々紹介されていて、でも自分がどれとも全く無縁だと思える人はたぶんいなくて、そんな点でも紙一重なんだと感じる。マインドコントロールの技術開発の歴史や、治療法の歴史が整理されているのも面白かった。


 アウシュビッツなど、拷問や飢餓、思想改造や洗脳を受けながらマインドコントロールを免れ得た人達は、共同体や家族などへの帰属意識が強かった、という話も面白かった。人間は社会的な生き物だから、マインドコントロールを受ける時も帰属意識を鍵に成立するし、その逆で帰属意識がしっかりしていれば別の帰属意識に置換されずに済むってことかもしれない。

マインド・コントロール 増補改訂版 (文春新書)

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