やしお

ふつうの会社員の日記です。

佐野眞一『凡宰伝』

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小渕元首相は合気道四段で実際に強い、大学時代に国会の乱闘を見て政治家に必要な技術と思って習得、という話で笑ってしまった。色んな議員が、世襲だから無能だと言われがちだけど、むしろ党のブランドで当選する小選挙区制では自分を磨くインセンティブが働かないから、というファクターの方が強いように見える。中選挙区制で福田・中曽根元首相と同じ選挙区で争った小渕は「どうしたら政治家になれるのか」を真剣に追求している。在任中に病没するまでの1年8ヶ月で外交にしても内政にしても、大きな決断を不思議なバランス感覚で通している。


 竹下七奉行のうち、「H2O」と呼ばれ「水=無味無臭」と言われていた羽田・橋本・小渕の3人が首相になって、他のもっと野心も個性も強かった梶山・渡部・奥田・小沢は首相になれなかった、という話がなんか教訓話っぽさがあるなとちょっと思った。

凡宰伝 (文春文庫)

凡宰伝 (文春文庫)