やしお

ふつうの会社員の日記です。

緊急事態宣言のあとで、普通と異常が相半ばしながら慣れていく感覚

 4月の頭に緊急事態宣言が出された時に、その当時の憤りに近い不安感や、会社の対応などについて↓に書いていた。
  緊急事態になった明日も、不要不急の仕事で外出する - やしお
 「その当時こんな経緯があった」「こんな気持ちだった」という話は、後から思い出そうとしても分からなくなってしまうので書き残しておいた方が自分のためにもいいかと考えて書いたのだった。あれから半年経ったしその後の状況も改めて記録しようと思った。
 4~5月ごろはもっと不安な気持ちだったり、会社なり政府なりの対応に苛立ちを覚えたりもしていたけれど、人間ずっと負の感情を抱き続けるのもしんどいのでもう慣れてきている。気が緩んでいるとも言えるし、なんとか適応して上手くやろうとしているとも言える。


緊急事態宣言

 自分は関東の大手メーカーに勤務していて、緊急事態宣言前後の流れとしてはおよそ↓の通り。

  • 4/5(日):「首相が緊急事態宣言を出す意向を固めた」という報道が流れる。
  • 4/6(月):「明日宣言を出す」という政府の会見がされる。
  • 4/7(火):夕方に宣言が出される。
  • 4/8(水):出勤率2割以下(出勤不可避の業務は出勤可)の方針が部門から出される。

 4/7のブログ記事の中で「政府が緊急事態宣言を出すとアナウンスしているのに会社からは何もアナウンスがなくて働き続けるのは不安だししんどい」と書いていたけれど、実は全社→各部門には既に大方針(原則在宅勤務)が宣言前日あたりには下りてきていて、ただ部門方針が宣言発出に間に合わなくて翌日になったという状況のようだった。後から思えばちょっと記事を書くには勇み足だったかなという気もするけれど、当事者の感情や状況としては事実なのでそのまま残している。


出勤・勤務状況

 緊急事態宣言(4/7)以降の在宅勤務はおよそ以下の通りで推移した。

  • 【4月】外注先へずっと出張(会社方針としては原則在宅だったが担当製品の予定はそのまま進めろ、との部門方針により)
  • 【5月GW明け】週4で在宅
  • 【6月】週3で在宅
  • 【7月】週1で在宅
  • 【8月~】基本出社(2週に1回くらい在宅勤務)

 5/25に緊急事態宣言が解除されて、7月からは「原則出社」という方針が出された(全社というより事業部門の方針)。ただ実際には研修や打合せ・会議で埋まって出社する意味がなさそうな日を在宅勤務にしているので、7月も週1くらい、8月以降も週1か隔週に1回ほどの頻度で在宅勤務をしている。


 緊急事態宣言の間に一時帰休もあった。世界中で販売が落ちる→在庫が過剰になる→生産調整が入る、という流れで生産会社(外注・子会社)も一時帰休を実施した。コロナ特例の「雇用調整助成金」が4月~9月で実施され、それを利用するためという理由もある。


 海外子会社で働いている人は今年に入って一度も日本に帰国していなかったり、国内でも別地域に赴任している人がなかなか家族に会えなかったり、同じ会社の中でも中国へ出張して向こうで2週間、日本へ帰国して2週間の不自由な隔離生活を過ごしてながら対応している人とかもいて、本当に頭が下がる思いがする。企業活動がコロナ対応をしながらもある程度は元に近い状況にまで戻っているのは、各拠点にいる日本人スタッフがいるからで、そこを無視して「ニューノーマル大変だわ」なんてとても言えない。
 人事担当の役員が社内報のインタビューで「感染したらどうしてくれるんだ!」「通勤するのは危険だ!」と社員からクレーム(?)が入るけど、もっと大変な人がいることも理解しろ、みたいなことを言っていた。大変な仕事を引き受けてくれてる人のおかげで成り立ってるんだよな、と個人としては感謝するとしても、会社側を代表する役員という立場でそれを言うのはどうかしら? という気持ちにはなった。社員側が「会社としてしっかり対応・説明してほしい」という気持ちを持つのはそれはそれで普通のことだろう。


リモートワーク:作業効率

 週4で在宅勤務だった頃は、最初は良かったけれどだんだん集中できない日が多くなって困った。
 今は会議が多い日にたまに在宅にしていて、会議の隙間にメールの処理や事務作業をやるような感じで強制的に時間管理ができているので問題なくやれている。しかし「丸一日自分で時間割を決める、やることはあるが締め切りはすぐじゃない」ような状況だとダラダラしてしまってダメだった。小学生の時、夏休み最終日近くギリギリにならないとやれなかった自分がそのまま今も保存されてるんだと思うと悲しくなった。
 仕事に限らず家だとだらけちゃうから、カフェやファミレスで作業(本読んだり勉強したり)していた。「他人の目がある」「他にする事がない」状態が揃わないと集中できない。PC上で完結する事務作業でも、そういう意味で会社にいる方がはかどる面はあると感じた。


リモートワーク:作業環境

 同居しているパートナーはほぼ完全に在宅勤務だった。自宅アパートは2LDKで寝室と別に作業部屋があったので、お互いの在宅勤務の空間がバッティングせずに済んだ。
 昨年夏に同居を始める際の部屋探しで、2LDKの間取りはどちらかというと自分の希望だった。不動産屋は「1LDKが主流で2LDKの物件は少ない」と言い、パートナーも「(どちらでも構わないが)もう一部屋いる?」というようなことを言っていて、「2人暮らしにとって部屋数が多いのでは?」というのはその通りなのだけど、自分はもう一部屋欲しかった。一人暮らしが長く、誰かと一緒に暮らすのは楽しみな反面、距離感を上手に取れるようにしないと長続きしないんじゃないかと不安に思っていたからそうしたのだったと思う。
 今の状況を予想していたわけではもちろんなかったけれど、結果オーライになった。エアコンも後付けで設置していたので夏も大丈夫だった。


 この前「書斎つきのマンションが求められているけれど、無くす方向で進んできたところだったので供給側も悩ましい」みたいな記事を見かけた。同僚でも、寝室とリビングの1LDKの間取りなのでリビングで仕事をしているけれど妻と幼児がいて集中できない、といった話を耳にしたりもした。
 「昼間は学校/職場に行っている、夜に帰ってきて少しくつろいで寝る場所」が自宅の要件だったし、その要件に合わせてみんな自宅を最適化したり調達してきたのだから、急にその要件が変わると大変なのは当然だ。


 例えばミニマリストの暮らしは、流通・通信などのインフラが機能している、消費材が外部(スーパーとか飲食店とか)に確保できている、といった前提がないと成立しない。災害などでそうした依拠していた外部が機能しなくなるととても脆弱な暮らし方なんだなと特に去年台風で千葉が大規模な停電になったのを見たりして思った。それとちょっと似ている話だと感じた。普通に考えたら「もう一部屋」はいらないけれど、こういう状況下だと「あって良かった」になる。
 効率の観点では「ムダ」と見なされて削りがちだし、それは何も意識の高さやライフスタイルの方針で積極的にそうしているケースに限らず、経済的な余裕がないといった消極的な理由もあったりする。でもこういう災害や疫病があったりすると「どれだけマージンを持つか=どれだけリスクを見積もるか」という実証的にというより感覚的な部分が、自分も含めた世の中全体で「マージン多め」に振れざるを得ない、そんな価値観のシフトが起こってるんだと感じている。


リモートワーク:副作用

 会社に行くのがちょっと面倒臭いと感じるようになった。在宅勤務だと通勤時より1時間遅く起きられる。
 自分が就職してからの出勤事情を概観してみると、入社当時は独身寮(なぜか会社から遠い)で通勤に1.5hかかって乗り換え2回だった→一人暮らしを始めて1hに短縮して乗り換え無しになってすごく楽になった→同居を始めて乗り換え無しはそのままで、自宅・駅間が半分の距離になってさらに楽になった、とだんだん楽になってきている。一度楽になるともう戻れないなって気持ちになる。その流れの中で出勤時間ゼロ、という「一番楽」を体験してしまった。


 45分間の昼休みはいつも社食を利用していて、食べて帰ってくるのに15分程度、残り30分は本読んだり昼寝したりしていた。自宅だと食事の準備と片付けをしないといけなくて、昼休みが短く感じる。
 一方で社食が高いなと感じるようにもなった。いつも麺類を食べていて、かけそば・うどん250円、トッピングそば・うどん3~400円、ラーメン5~600円くらいの値段設定だけど、冷凍パスタとかは具もちゃんと入っていてすごくおいしいのに、社食の具のないそばより安い。企業努力ってすごい。


リモート会議

 リモートワークの副作用で気軽にリモート会議が設定されるようになったのは良かった。ここは本当に「文化が変わった」と思う。
 「密を避ける」を理由に会議室にも基本的に行かなくなった。会議室への移動が不要なのもうれしい。違う建屋の遠い会議室に行く必要もない。(自分はほとんど経験ないけど)人によっては会議のために拠点をまたいで(本社とか)移動することもあったみたいで、そういう大変さがなくなったのは良かった。
 「一応ご参考までに出る会議」とかもBGMにして他の作業しながら出席することもできる。(そもそもそういう会議は出ないようにしてはいるけれど、回避しきれないものもある……)


 リモート会議が主流になると、パワーポイントの資料の作り方もちょっと変わる。従来は「壁に映す」前提で、画面の下端あたりの文字や、小さすぎる文字は見えないから避けていたけれど、「ディスプレイで見る」前提になるとその辺の感覚も少し変わってくる。


 あとウェブカメラはノートパソコンについてはいるけれど、基本的に使わないのでたまに虚空に向かって喋ってるような感覚になる。この前社内向けの教育で講師になって2時間ほど解説する役をしたのだけど、いつもなら目の前にいる人たちが「?」って顔をするか「うんうん」って頷いているかリアクションを見ながら安心したり、微調整したりできたけれど、その辺が何もないのは結構難しいなと思った。
 普通の打合せでも周りのリアクションがないと不安になる。でも慣れてきた。「あれ、今自分おかしなこと言ってないよな」と不安になると余計に変になるので、「この私が話しているのだから、大丈夫だ」と根拠のない自信をもって押し切る方が、まだマシだと思うようにしている。
 この話はさっきの「他ごとできる=相手に自分のリアクションを見せなくていいから楽」という話とまるっきり裏返しの関係になっている。


 社内で自席からリモート会議に参加していると、リアル人間が自席にやってきて割り込んで話しかけられることが時々ある。会議室で会議をしていた頃は(あるいは電話中とか)よっぽど緊急でない限り自分の話をねじ込んでくる人はいなかったのに、気軽に割り込まれる。「それ今じゃなくても良くない?」とか「メールやチャットで良くない?」と苛立ちを覚えることがある。
 これも慣れの問題か? という気もしたけれど、別にリモート会議に限った話じゃなくて「相手の状況を配慮する」というだけの話だった。緊急度・重要度によっては割り込まれてもイラっとせず納得もするわけだし。


健康

 コロナのあれこれで何だか健康になったような気がする。
 衛生観念が強化されて、手洗いうがいをこまめ・丁寧にやるようになったり、マスクを常時していたり、目をこすったりするのを意識してやめたおかげか、風邪などの体調不良が今年に入ってから一度もない。いつもは熱はあまり出さないけど鼻や喉がおかしくなって2週間くらい続いたりすることが年に1、2回は起こっていたけれど、今年は全くなくなってとても快適に生きている。
 風邪は一種の日和見感染、自身の抵抗力・免疫力が落ちるとかかるんだ、と勝手に解釈していたけど、そうじゃなくてちゃんと体内に細菌やウイルスが入ってくる可能性をしっかり減らせばかかりにくくなるんだなと、当たり前のことを思い直した。
 感染防止のために顔に触れないようにしているせいか、できものの頻度も減った。


 体重もリモートワークを始めてから3.5kgほど減った。(もともと太っても痩せてもいなかったけれど。)「在宅太り」という言葉もあるけれど、自分にとってはむしろ在宅勤務の方が体重のコントロールはしやすいと感じた。睡眠時間がしっかり取れているからかもしれない。睡眠時間が短くなると、レプチン(食欲抑制ホルモン)の分泌が低下して、グレリン(食欲増進ホルモン)の分泌が増えるという。睡眠時間が少ないせいなのか、食事のタイミングの問題なのか、会社に行くより動かないせいか、出社していた頃は夜お腹が空いてたくさん食べていたのが食欲がほどほどになった。


 それから歩く距離が長くなった。歩く量自体は在宅勤務でかなり減っている(出社する日は8千~1万歩くらい歩いていた)けれど、夜に同居人とお散歩したりするようになった。近所を歩き回ってみると意外と知らないところもたくさんあって面白かった。


接触確認アプリ

 厚労省が6/19に接触確認アプリをリリースした。開発にまつわる騒動はネットで何となく見聞きしてはいて存在は知っていたけれど、リリース以降しばらく入れていなかった。Twitterか何かで「接触ありが出て無症状だったけど検査を受けたら陽性だった。入れてよかった」といった体験談を見かけて、自分も入れた。


 8/12にiPhoneで「接触の可能性がある」と通知が出て、でもアプリを開くと「接触なし」と表示されていた。厚労省のサイトのQ&Aには「その場合はメールしろ」と書かれていた。サイト上にフォームがあるわけでもなく、メールアドレスが記載されているだけだったから素直にメールを出した。
 ただその時点で既に同様の現象(不具合)はいくつも報告されていて、例えばTiwtterで検索するとログの確認の仕方や厚労省からの回答メール(テンプレ)も出回っていた。


 「接触確認アプリサポートセンター」とのやり取りはおよそ以下の通りだった。

  • 8/12朝に通知→AM中に厚労省の窓口にメールを出す。
  • 8/13夕方にサポセンから定型文の返信(ログから確認してほしい、キー数が1以上なら返信してほしい)→直後に返信(キー数は1以上だ)
  • 8/15朝に定型文の返信(体調に変化がなければ連絡しなくてもいい。体調の変化に気をつけてね)


 Twitterで見た内容と変わりなく、特に新しい情報もなかった。最初からQ&Aに載せておいてくれればこのやり取りも必要なく、お互いの時間も無駄にならないのにと思うと、何か事情があるのかもしれないとはいえガッカリする。
 通知が来たときは「大丈夫なのかな」ととても不安な気持ちになった。自分が感染すれば同居人も間違いなく感染するだろうし、重症化するケースや後遺症のことも考えるとやっぱり不安になる。そんな中でやり取りだけで3日かかって特に新しい情報もなしだと「えー」って脱力感を覚えたのは確かだった。


 その1か月後(9/16)にもまた同じ現象(通知はありログ上はキー数1以上だがアプリでは接触なし表示)が起こったけれど、どうせメールを出しても無駄だし症状がなければアクションもなしならしょうがない、という良くない気持ちになってしまった。


 なお9/25に修正版がリリースされたという。こうした「スピード命」みたいなアプリで修正に1ヶ月半かと思うと、中の人たちは頑張っているとしても、効率的かは怪しい気もしてくるし、最初の開発前の選定のゴタゴタのことも思い出してやっぱりがっかりするような気分にはなるのだった。(アプリ側でなくOS側の問題だったのだろうか。)
 ただそうであっても、接触確認アプリで通知検査費用が無料になるし、利用した方がいいのは確かだろうとも思って利用を続けている。


映画

 もともと月に7~10作ほど映画館で映画を見ていたけれど、3/24に『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』を見てからは映画館に行かなくなって(新作の公開も軒並み延期されていたし)、7/2に『ランボー ラスト・ブラッド』を見てからまた行くようになった。その間はiTunesとかツタヤとかでレンタルして家で見ていた。


 7月から映画館に行くのを再開してから、座席が前後左右1席ずつ空けてしか予約を取れないようになっていて、(映画館側は厳しいんだろうけど)客としては周りに人がいなくてすごく快適だった。ただそれも9月後半から終了する映画館が出てきて、さらに『鬼滅の刃』がスタートしてから元に戻すところが増えている。
 普段自分が利用している川崎駅周辺の映画館だと、チネチッタが9/19から全席販売を再開、TOHOシネマズと109シネマズが10/16(鬼滅公開日)以降、金土日は全席販売、月~木は1席空けという措置になっている。


 この前、はてなブックマークで「TOHOシネマズは利益優先で公衆衛生を蔑ろにしている」みたいなコメントが星をたくさん集めて人気コメントになっているのを見かけた。

dekaino 2020/10/16
TOHOシネマズは鬼滅を当て込んでこの週末は座席ひとつ飛ばし販売をやめ全席販売するんだぜ。TOHO血鬼術「公衆衛生より利潤を優先」全集中で発動

https://b.hatena.ne.jp/entry/4692831812205975298/comment/dekaino


 ただ既に見たようにTOHOシネマズに限らず他の映画館も同様に緩和している。これは映画館が独自に決めたわけではなく、業界団体である全興連(全国興行生活衛生同業組合連合会)のガイドラインに沿った措置になっている。
 全興連は5/14に「映画館における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」を策定して、その中で以下のように示されている。

(2)施設内の各所における対応策
②スクリーン内
・十分な座席の間隔の確保(前後左右を空けた席配置、距離を置くことと同等の効果を有する措置等)に努める。

https://www.zenkoren.or.jp/news-pdf/0514_COVID-19_guideline.pdf


 これに従って各映画館が「1席空け販売」を5月からスタートさせている。その後何度か改訂されているがしばらくこの文言はそのままで、9/19版で修正され、緩和する際の対応が追加された。

②スクリーン内
・十分な座席の間隔の確保(前後左右を空けた席配置、異なるグループ(同一グループは5人以内)間では横の座席を1席空ける、もしくは同等の効果を有する措置等)に努める。
・上記制限を緩和し収容率100%にする場合は、飛沫感染を防止するためにマスクを外す懸念のある食事をさせないように努める。ただし、飲料に関してはその限りでない。

https://www.zenkoren.or.jp/news-pdf/0919-1_COVID-19_guideline.pdf


 チネチッタが9/19というタイミングで全席販売を再開させているのもそのためで、TOHOシネマズも鬼滅きっかけで全席販売を週末限定で再開した際に「1席明けの時は食事OK、全席販売時は食事NG」としているのもこのガイドラインに従った結果になっている。


 実はTOHOシネマズが全興連の中でものすごい影響力を持っていて、他の映画館が反対していて科学的なエビデンスもない中で無理やりガイドラインを緩和させた、みたいな話だったらまだTOHOシネマズを批判する筋もあるかなって気もするけれど、そうした事実があるというわけでもない。名指しで1社だけ挙げて非難するのはちょっと筋違いではないかと思った。映画館に限らずどこの業界・会社、それから個々人も、公衆衛生と利益確保のバランスを考えながら何とか生き延びようとするのは普通のことだ。


外食

 4/7が最後で、5/28に再開した。会社の飲み会とかは依然「やるな」とお達しが出ているし、もともと交友関係も広くないし、再開後も同居人以外とは誰とも外で食事はしていない。
 自宅周辺の飲食店もお持ち帰りやデリバリーを始めたりしていた。そういうのも色々利用してみて、ちょっと楽しかった。サイゼリヤも持ち帰りをやっていて、取り分ける前の業務用の大きなティラミスを買って家で食べて幸せだった。あと硬いプリンも持ち帰りで食べた。



 今まで自分は美食家でも何でもないし「外食したい!」というタイプでも特にないと思っていたけれど、できなくなると外でご飯食べたい気持ちがこんなにあるんだなとちょっと意外だった。
 一人だとファーストフードやファミレス、カフェしか行かないけれど、そういうとこで本読んだり何か書いたり作業するのが無視できないリフレッシュになってたんだなと改めて思った。
 同居人とも、家で横並びでテレビ見ながらご飯食べるのと、外で向かい合ってご飯食べるのとだと、話す量や内容もちょっと違っている気がして、やっぱ両方あるといいなと改めて感じた。


お出かけ

 職場以外で電車に乗ってどこかに出かけたのは3/20が最後で、6/27に再開している。
 7/3に近所(職場に行くより近い)でホテルに泊まってみた。まだGOTOトラベルキャンペーンも始まる前だった。観光せず、ただ宿泊するだけなら大丈夫かなと思いながら泊まってみた。日帰りで行けるような距離で宿泊するのはちょっと新鮮だった。


 GOTOも始まってしばらく経ってから「特急電車を使わないくらいの距離」の近場で利用してみた。宿泊費が35%引きになる、例えば3万円が2万円になるのはやっぱり、ものすごく大きいと感じた。
 ただ制度設計が本当に観光業・宿泊業・飲食業の救済になっているのか怪しいところが、利用するのにちょっと罪悪感を覚える。地域共通クーポン(15%分)も(自分が利用した時点では)地元の飲食店や土産物屋はほとんど対応していなくて、コンビニやユニクロなどの観光業とは無縁の大手ばかりだったりすると、これはいったい何を救済しているんだろうみたいな気持ちになってくる。これから地元の個人のお店も対応が拡大していくんだろうか。事務局が飲食店などに電話で勧誘しているというけれど、事務局に出向して日当を貰っているはずの大手代理店社員が事務局の仕事をせずに自社の仕事をしている、みたいな報道もあったりして「うーん」となる。
 GOTOキャンペーンを利用する時の後ろめたさは、絶滅危惧種のウナギや環境負荷の高い牛肉を、自分の悦びのために食べる時の感覚とどことなく似ていると漠然と思った。




 改めて振り返ってみると、4~6月の3ヶ月間はイレギュラーな生活に一気にシフトして、7月以後で徐々に戻せそうなところは戻していって、今は衛生面以外はかなり元に戻っている。海外行けない・飲み会しないとかくらいで大きな不自由もなく順応しているのだとしても、やっぱり折に触れて「まだ全然解決してない、大きく事態は変わってない」「感染力も重症化も後遺症もやっぱりこれまでの風邪とは全然違うし怖い」「自分が感染していないのはたまたまだ」「自分が普通っぽく生活できているのは(海外出向者とか医療従事者とか)普通じゃない生活で耐えてる人がいるからだ」と急に思い起こされる。
 4~6月くらいの頃はもっと神経過敏になっていて、電車に乗る・店に入るといった日常の行動も「これは危ないだろうかどうだろうか」とおっかなびっくりやっていた記憶があるけれど、今は慣れてしまった。これは自分ひとりの慣れというより、周囲や世間の動き方に左右されもしていて、「みんなそうしてるからもういいか」という「赤信号みんなで渡れば」に近い機序も作用している。実生活としてはニューノーマルに変わったというより(戻せるところが)ほぼ元に戻ったに近い感じだけれど、気持ちというか認識の面では「普通」と「異常」を行ったり来たりして、意識に上らない時と「油断してたらだめだ」「やっぱ怖い」と意識される時とが、相半ばしながら日常を送っているような感じ。