やしお

ふつうの会社員の日記です。

読売新聞特別取材班『トヨタ伝』

https://bookmeter.com/reviews/96197376
トヨタの歴史・技術力・政治力・労組や創業家の立ち位置など広範なトピックが整理されている。元副社長でジャストインタイムやかんばん方式などを実践・体系化した大野耐一の『トヨタ生産方式』を以前に読んだ時には分からなかったが、現場側からは大野がどう見えていたのかが描かれていて面白い。怒鳴ったり材料を床にバーンと放り投げたり、床に丸を書いて工長を立たせたりして、現場からは恐れられていたという。大野が説明ベタなのもあるが、「感覚的な効率の良さ」とは乖離した新しい手法を定着させるのが、いかに難しいかということだと思う。


 国政との関わりという意味では、産別(産業別労働組合)の支援を受ける組織内議員は現在9名いて、ほとんどが参院比例で選出されているが、2名は衆院で選出されている。その2名はトヨタと日立出身。
 トヨタ出身の古本伸一郎は、立命館大法学部卒業→トヨタ自動車に入社→労組で専従職員になる→トヨタ労組出身の伊藤英成衆院議員が引退する→後継候補として愛知11区で当選(2003年、38歳)、という経歴になっている。愛知11区は豊田市が中心の選挙区で伊藤→古本が盤石で、03年選挙では新人の古本が当時の小泉首相よりも得票数が多く全国トップだったという。
 日立出身の浅野哲も似たような経歴で、青山学院大 大学院理工学研究科修了→日立に入社→労組の役員→日立労組出身の大畠章宏衆院議員が引退→後継候補として茨城5区で小選挙区では自民候補に負けたが比例北関東ブロック希望の党として復活当選(2017年、35歳)。
 こういう風に30代で国会議員になる、というプロセスもあるんだなと思って。