やしお

ふつうの会社員の日記です。

蓮實重彦『見るレッスン』

https://bookmeter.com/reviews/98946402
蓮實重彦が『シン・ゴジラ』をバッサリ否定しているのを見て、その立場だと当然そうなるよね、という気持ち。みんなが面白いと肯定した「官僚のやり取り」も「あんなのない方がいい」と切り捨てている。映画という形態が「画面が時間軸に沿って連なる」もので、そこに対して「どう物体と光とカメラの位置を設定して空間を組み立てるのか」「どこで時間を切ってショットを組み立てていくのか」を考えることが本質的に要求されているのだとすると、『シン・ゴジラ』等は全く退屈、という評価になってしまう。


 様々な映画で「このショットが素晴らしい」といった指摘はされても、それを一般化して「このようなものは素晴らしい」という言い方は全くされないので、蓮實重彦の価値判断を「学習する」というのは難しい。指摘された「素晴らしいもの」と「そうでないもの」を実際に見て何がどう素晴らしいのか考えるのを続けていくうちに内面化されていく、みたいなプロセスを踏むしかないのだろうと思う。