やしお

ふつうの会社員の日記です。

浦賀和宏『殺人都市川崎』

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気付いたら人生の3分の1以上を川崎市で暮らしていて、土地へのご挨拶みたいな気持ちで本作を手に取った。この小説でいう「川崎」は、川崎市ではなく川崎駅以東ないし川崎区で、武蔵小杉が対局に位置付けられる、という比較的単純な枠組みで進む。荒唐無稽なお話は、アンリアルなコンセプトとリアルなディテールの調和が重要だとして、本作は両者ともに強度が低く、一種の下書きのような印象を持った。それが欠点と言いたいわけではなく、恐らくシリーズにしてそこを重ねていく予定だったのが、作者の死によって本作が遺作になってしまった。