やしお

ふつうの会社員の日記です。

和田泰明『小池百合子 権力に憑かれた女』

https://bookmeter.com/reviews/98946483
炎上しそうな案件を見つける→問題を言い立てて炎上させる→正義・大義名分の側にポジション取りする、という一連の動きが小池都知事はめちゃくちゃ上手くて、そのサイクルを躊躇なく回せるので、ポピュリズムが成立して支持を受けるし、権力に近接できるし、長年に渡って「話題の人」であり続けられるんだろうか、と本書が紹介する色んな事例を見ながら思った。そのゲームの世界では、「課題を解決すること」自体には興味がない(意味がない)ので、「騒ぐだけ騒いで最後はやりっ放し」にならざるを得ない。


 本書はサブタイトルに「権力に憑かれた女」と、ちょっとセンセーショナル気味につけているけれど、中身では取材や公開情報に基づいて割と淡々と出来事を並べていて、人物に対する価値判断はそこまで下していないし、事例を綜合・一般化して人物を分析するようなこともされていない。
 一人の政治家の評伝としてはまだ全然不足していて、ただそれは著者の能力の問題ではなく、「現に権力者であり利害関係が発生している状態」では収集できる情報に制限があるので、小池百合子が完全に「過去の人」になったところで、改めてちゃんとまとめたものが出るといいなと思った。
 あとどれだけポピュリストだろうと、(国政もそうだけど)予算を成立させるためには議会の「人数」が必要になるので、そこは必至で泥臭くやらざるを得ない、というのも面白かった。