やしお

ふつうの会社員の日記です。

平野久美子『テレサ・テンが見た夢』

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テレサ・テンは、母親経由で大好きになった。単に「歌謡曲の歌手」ではなく、その生涯は台湾・華人社会の歴史と強くリンクしている。父親は共産党に敗れ台湾に渡った国民党の軍人で、貧困の中で育つ。偽造旅券事件も個人の問題ではなく、台湾(中華民国)が国連から脱退し、国際的に孤立していたことが背景にある。高等教育を受けず、大人になって複雑な現実に直面しても、考える枠組みを持てずに大きな苦悩を抱えるスターの悲しさも描かれている。未だにベストアルバムが毎年出続けていて、現在185thアルバムまで出ているのだから驚異的。