やしお

ふつうの会社員の日記です。

中村恵二、榎木由紀子『最新ホテル業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第4版]』

https://bookmeter.com/reviews/109889565
コロナで旅行の機会が減ってから、なんとなくYouTubeで旅行やホテル滞在の動画を見るようになって、もうちょっと体系的にホテルの基礎知識を得たいという気持ちになってきて、あれこれ探して本書に行き着いた。業界に就職したい学生向けの参考書という感じで、体系的かはともかく網羅性はあった。ブランド名と実運営の主体が違う(同じマリオットでも中身は近鉄JR東海森トラストだったり)とか、普通に泊まってるだけだと全然分からないよね。


 最近のラグジュアリーホテルだと、高層ビルの下層が商業施設、中層がオフィス、上層がホテル、というスタイルが多いけど、容積率の緩和とかの話とも絡んで量産されてる、という。
 しばらく前に横浜のインターコンチネンタルホテル(カマボコ型のあれ)に泊まって、確かに90年代前半の建設なので古さはあっても「大きなビルのまるごとがホテル」なのはやっぱいいなと思った。ロビーも広々してて「公共の場」感があるし。
 少し前に堤清二やセゾン関係の本を読んでいて、このみなとみらいのインターコンチネンタルホテルができた経緯も知ると、一種のひいき目で見ているところはあるのかもしれない。もはやセゾンとは無関係でも、下にセゾン美術館のミュージアムショップがあるのは、何か「夢の跡」感があった。
 上層階だけホテルスタイル、経済的な余裕のなさがむき出しなのが、「いいホテルに泊まったな」感を削いでくる感覚がちょっとある。歌舞伎座をビル化してオフィステナントの賃料収入で成立させるのも似た話かもしれない。経済合理性の追求は、余裕やゆとりとは方向性が違ってくる。
 といった素人がすぐに思うような話は、当事者は当然わかっていて、ホテルオークラ東京は建替えでビルの途中がオフィスフロアになったものの、ロビーを限りなくもとに近い雰囲気を維持していた。