やしお

ふつうの会社員の日記です。

「カラフル」、「十三人の刺客」、「大奥」、「半次郎」、「キャタピラー」、

 劇場で5作連続で邦画を見るなんて珍しい。(普段あんまり邦画を見ない)
 今公開中の時代劇「十三人の刺客」、「大奥」、「半次郎」の3本を仮に並べてどれが一番面白かったかと問われれば「十三人の刺客」を、どれが一番退屈だったかと問われれば「大奥」を迷わず挙げることができるが、それは個人的な好みとはあまりかかわりがない。


十三人の刺客
 時代劇ではあまり見ないあの爆発も、火薬の勉強をしている場面を事前においたりせずに説明抜きにやればもっと、という気もしなくはないし、何も律義に一人一人死ぬところをドラマチックにやらなくてもといろいろ思いはしても、もう単純に矢がびゅんびゅん飛んでて楽しいし、松方弘樹の意味不明の強さはあたし、好きよ。首を刺されても理由なしに生きてる山男も好きよ。ライティングも気合入ってるし、暗い中何枚かの襖とその隙間を介して、横移動しながら見え隠れする役所も、きれいな顔した稲垣もみんなみんな好きよあたし。


「大奥」
 例えば、一つ一つのショットが短か過ぎることやカメラが動き過ぎることは、チャンネルを簡単に変えてしまえる視聴者を飽きさせないための配慮からくるものだろうし、画面が明る過ぎるのはテレビの画面では真っ暗な中でスクリーンに映る映像とは違って暗いとすぐに潰れて見えなくなってしまうことへの配慮からくるものだろうし、何より脚本、演出を初めとしてあらゆる要素を全て了解可能なものに押し込める力は視聴者の頭の悪さへの配慮なので、これは映画ではなくテレビドラマなのだと考えれば、この絶望的な退屈さも驚くほどのことではなく、いつものこと。
 予告では「謎の疫病により男が激減」と説明になっていない説明をしていて滅法面白かったのに、本編ではちゃんと病気の説明がされててなーんだと思った。
 でも面白かった、というか笑ってしまったのは本作の吉宗(柴崎コウ)を「暴れん坊将軍」に押し込めようとする力が働いていること。
・白馬にまたがって全速力で草原を駆け抜ける吉宗(初登場シーン)
・町人姿で城下をこっそり視察する吉宗
・お庭番に仕事をさせる吉宗
・果ては庭でジイ(いや、本作では女なのでバア)と大岡忠相を引き連れて会話する吉宗
 こうまでして「暴れん坊将軍」の吉宗を踏襲する意味不明さが結構たのしかった。パロディ意識とかではなくて、なんかの強迫観念(何か型にはめないといけない、という)のように見えて気持ち悪くてよかった。


「半次郎」
 キョエェェェという示現流の気合(奇声)が満ちるときの心のざわつき。「あなたは人を殺した」と言われて口だけで笑ってすぐに真顔に戻した榎木孝明の表情を目にしたときの心のざわつき。


キャタピラー
 寺島しのぶの地声のような歌声が、楽器の伴奏もなく、ひたすら声が満ちるときの心のざわつき。


「カラフル」
 援助交際している女の子が泣きながら言う「私おかしいの。3日に一度は(セックスを)したくなるのに、1週間に一度は尼寺に入りたくなるの」という台詞がすごく印象に残っている。