やしお

ふつうの会社員の日記です。

稲田将人『経営参謀』

https://bookmeter.com/reviews/94988288架空の小売業(アパレル)をケーススタディに、経営改善手法を解説する本。ただ一般的な改善手法の話だけではなく、本書は「創業家の経営陣と、社内の思惑が足枷になっておかしくなる」とドロドロした話を描いている…

仁藤夢乃『女子高生の裏社会』

https://bookmeter.com/reviews/94987303性産業に取り込まれる女子高校生たちのルポ。著者は25歳で本書を書いていて、自身の経験も踏まえながら中高生と関係を構築・支援しつつ、内情や問題点を把握していて、本当にすごい。本人が家族・学校・行政に上手く…

杉山春『ルポ 虐待』

https://bookmeter.com/reviews/94986133「シングルマザーが子供2人をマンションに放置し、自分は外で遊んでいるうちに餓死させた」事件の本。一見「母親であることを放棄した結果」に見えるが、実は真逆で「母親であることに縛られ続けた結果」だった事実が…

椿弘次『入門・貿易実務<第3版>』

https://bookmeter.com/reviews/94988881しばらく貿易実務を経験した人が本書を読むと、「今までやってた仕事ってそういう意味だったのか」と断片的な知識が整理・統合されてちょうどいい本だと思う。必要な用語が網羅されつつものすごくコンパクトにまとめ…

青木保『タイの僧院にて』

https://bookmeter.com/reviews/94989225文化人類学者(33)が70年代のタイで僧侶になってみた話。異世界転生みたいで面白い。日本で「修行」と言うと「肉体や精神を追い込んで内面的に成長する」みたいなイメージだけど、タイの仏僧修行は全然違う。内面がど…

ルートウィヒ・ウィトゲンシュタイン『青色本』

https://bookmeter.com/reviews/94997218講義録ということもあり、体系的な著作ではなく、思考のプロセスを追体験するような本になっている。面白いのが、本文の中に訳者(哲学者の大森荘蔵)の補足が大量に埋め込まれていて、時々「私にはどうしてそうなる…

大西康之『電機メーカーが消える日』

https://bookmeter.com/reviews/94997198ここ10年ほどの日本の電機産業を解説する本。一般消費者からはみんな家電やPCメーカーに見えたとしても、もともとバックグラウンドとして電力と通信という2つのインフラを支えるために作られた企業群があって、電力系…

石井正『東日本大震災 石巻災害医療の全記録』

https://bookmeter.com/reviews/94987097石巻の災害医療で陣頭指揮を取った人の著書。たまたま東日本大震災の以前に病院が内陸部へ移転していたおかげで、津波に飲まれず災害拠点病院として機能できたという。運が良かったんだと思っていたら、著者は「そう…

金敬哲『韓国 行き過ぎた資本主義』

https://bookmeter.com/reviews/94986375新自由主義的な競争社会が行き着く姿の、ひとつの具体例に韓国がなっている。韓国は教育熱が高いと漠然と知っていたけれど、それが「自分の能力しかあてにできない」保障の少ない社会によって起こっている。人生の余…

倉山満『政争家・三木武夫』

https://bookmeter.com/reviews/92967785非主流の少数派閥でも、上手に争点を作り出してキャスティングボートを握っていく。権力の中心でも周辺でもなく、亜周辺に留まるようにバランスを取って、最終的には首相になる。首相になるにしても色んな戦略がある…

デイヴィッド・J・リンデン『快感回路』

https://bookmeter.com/reviews/94986484実は「知らないことを知る歓び」のような抽象的な快感も、タバコ・薬物・食事・性行為などのよりダイレクトな快楽と、脳内では同じ「快感回路(報酬系)」の働きで快感を感じているという話が面白かった。神経生物学…

上野裕和『【増補改訂版】将棋・序盤完全ガイド 振り飛車編』

https://bookmeter.com/reviews/94986607将棋の序盤戦法の解説書。本旨とは違うが、「プロ棋士」と言っても色んな生き方があるんだよなと思えてくる。タイトル戦に登場するトッププロだけが棋士の生き方じゃない。著者はアマチュア向けの講師や解説書の執筆…

早瀬圭一『大本襲撃』

https://bookmeter.com/reviews/95035178日本の現代史で最大の宗教弾圧、大本事件のノンフィクション。大本の教祖 出口なお・王仁三郎に比べて知名度の低い、2代教主・出口すみにスポットライトを当てた点に特色がある。6年以上に渡って収監されても、警察署…

水島治郎『ポピュリズムとは何か』

https://bookmeter.com/reviews/94986834民主主義の中に「間接民主主義」と「直接民主主義」の対立が内在している、という話になるほどと思った。例えばタイは、農村部を大票田にしたポピュリズム政権(タクシン派)が生まれ、都市部の知識層がそれを否定し…

溝口敦『ヤクザ崩壊 半グレ勃興』

https://bookmeter.com/reviews/92967752暴対法でヤクザを締め付けると、マフィア化して見えにくくなったり、ヤクザ以外の反社勢力に取って代わられたりしていく。社会からドロップアウトしてしまう人、暴力や犯罪に頼って生きざるを得ない人たちの総量自体…

伊藤亜紗『目の見えない人は世界をどう見ているのか』

https://bookmeter.com/reviews/92083440情報を入力される場所(器官)でカテゴライズして考えるのではなくて、どう処理されるのかで分類した方が、より正確に視覚障害者を捉えられる、っていう認識の逆転が面白い。例えば「読む」という行為も視覚情報だと…

清武英利『プライベートバンカー』

https://bookmeter.com/reviews/92083390節税目的のシンガポール移住は(表立った活動ができないので)引きこもり気質の人でないと向かないけど、引きこもり気質の人はお金持ちにはなりにくい、というジレンマがあって、バイタリティ溢れるお金持ちは相続税…

高埜利彦『江戸幕府と朝廷』

https://bookmeter.com/reviews/92083347以前、熊倉功夫 『後水尾天皇』を読んで、江戸時代初期に天皇・朝廷がどのように幕府によって体制に組み込まれて、政治的実権から疎外されていったか、そこにどう抵抗/順応したかなどの話が面白かったので、ではその…

日本再建イニシアティブ『民主党政権 失敗の検証』

https://bookmeter.com/reviews/92967731「悪夢の民主党政権」と一言で片付けたり、鳩山が愚かだった、菅がダメだった、小沢が壊した、と属人化することも、ストーリーが分かりやすくなって信じられやすいけど、単純化に抗って複雑さに耐えないと正確に認識…

浅見雅男『華族誕生』

https://bookmeter.com/reviews/92083315政治体制が大きく変わった時に旧勢力をどう処遇するかは、対応を間違えると体制の不安定化に繋がる。明治維新の場合は「華族制度」を作って、公卿(公家のうち堂上家)と諸侯(武家のうち大名家)という旧体制の権威…

岩佐淳士『王室と不敬罪』

https://bookmeter.com/reviews/92083267タイは民主化すると利権政治になってしまい、それを倒すにはクーデターに頼らざるを得ず、今度は軍政になって民主化から遠ざかる、という「利権政治か軍事政権の2択」を選ばされる状況になっている。その上、抑制的で…

柿崎一郎『物語 タイの歴史』

https://bookmeter.com/reviews/92083232タイはインドシナの他の国がみんな植民地になる中で独立を保って、第2次世界大戦でも日本に迫られて枢軸国になりながらも被害を最小限で留めた、というのは優れた面だけど、その結果で古い憲法(国会より君主優位)の…

蓮實重彦『帝国の陰謀』

https://bookmeter.com/reviews/94997637「ナポレオンの甥」でしかない男が、大統領になって第2帝政を確立し肯定ナポレオン3世になる経緯を描いた本。モチーフ自体はマルクス『ブリュメール18日』と同じでも、ナポレオン3世の義弟ド・モルニーに着目する点が…

井出穣治『フィリピン』

https://bookmeter.com/reviews/95122865フィリピンは国民の1割が海外で出稼ぎ労働をしていて、また海外のバックオフィスとしても機能することで、00年以降高成長を続けているという。英語が普及している(米国映画が字幕なしで上映されるレベル)ためだが、…

荻上チキ『彼女たちの売春』

https://bookmeter.com/reviews/95122787売春・ワリキリのルポ。キスはNGにしてるから彼氏は裏切っていないとか、風俗で働いてないから本腰は入れていないとか、目的のために必要な額を稼いでいるだけだ、といったある種の道徳的な規範や内在的なロジックが…

デイヴィッド・A・プライス『ピクサー』

https://bookmeter.com/reviews/95122724影も形も存在しない長編CGアニメを60年代から夢見て、遂に95年に『トイ・ストーリー』で世界で初めて実現する。その間、実用化・収益化にはほど遠い状態で、長編CGアニメ映画の野望を隠しながらどこかから金を調達し…

老川慶喜『日本鉄道史 昭和戦後・平成篇』

https://bookmeter.com/reviews/95122635戦後に国鉄が国営から公共事業体になり、昭和末期にJRへ分社化していく流れが詳細に描かれる。87年4月1日にJR7社体制がスタートするが、そこへ至るまでに国鉄総裁が分社化反対派の役員を道連れに辞任したり、労働組合…

竹下節子『ローマ法王』

https://bookmeter.com/reviews/95122566他の教会ではなくローマ教会が権威を獲得していった経緯や、19世紀(日本の明治時代初頭)に国家を一旦(約60年間)失ったことで現在の世界的なネットワーク構築の素地になったことなどが概観される。出版当時の教皇…

新自由主義の自己責任・競争社会が生み出す景色

新自由主義経済が進むと格差社会になる、苦しい社会になる、とはよく聞く話だけど、金敬哲(キム・キョンチョル)著『韓国 行き過ぎた資本主義』はそれが具体的にどういう世界なのかを見せてくれる。 韓国 行き過ぎた資本主義 「無限競争社会」の苦悩 (講談…

山崎豊子『沈まぬ太陽(1)』

https://bookmeter.com/reviews/90594927 御巣鷹山の日航機墜落事故をモチーフにした小説という漠然とした理解で読み始めたら、いきなり主人公がアフリカのサバンナでゾウを狙撃していたので驚いた。現在の感覚では、企業による懲罰人事(内部告発やリストラ…