やしお

ふつうの会社員の日記です。

映画

『来る』のシン・ゴジラ悪霊版みたいな楽しさ

さっき『来る』を見てきた。公開したばかりの映画だから、ネタバレ的なことは書かないけれど、見てたら途中でもの凄いわくわく感に襲われて、この感じ何かに似てると思ったら、『シン・ゴジラ』だった。ホラー映画と思って見てたら、いつの間にか悪霊版『シ…

『Roman J. Israel, Esq.』の「Esq.」の意味

『Roman J. Israel, Esq.』という2017年公開のアメリカ映画(日本は劇場未公開)の中で、主人公である弁護士(デンゼル・ワシントン演)は自己紹介や電話で名乗る際に必ず(頑なに)「私の名前はローマン・J・イズラエル、エスクワイアです。」と言う。最初…

PC上の差異:スリー・ビルボード、シェイプ・オブ・ウォーター、ブラックパンサー、グレイテスト・ショーマン

『シェイプ・オブ・ウォーター』は、異人種どころか人ですらない相手とのロマンスとして、白人の美男美女のロマンスに対するカウンターになっているのかもしれない。『ブラックパンサー』は、黒人だらけの中で白人の脇役がぽつんといる風景を作り出して、白…

パワーレンジャーとLGBTとリベンジポルノ加害者

パワーレンジャーは、高校生のメンバー5人がそれぞれ個人的な悩みを抱えている設定になってるけど、トリニー(黄レンジャー)とキンバリー(桃レンジャー)の女性二人の事情は即時に理解するのが難しくて、映画が終わってあれこれ考えてようやく「あ、そうい…

「君の名は。」と「シン・ゴジラ」の、粗と密

※別にネタバレとかはないです。 小説でも脚本でも、フィクションのお話を書いていると途中で「ストーリーに寄与しない細部」に必ずぶつかる。「大人を説得して動かす」という場面があったら「どうやって動かしたのか」という細部、「主人公が漫画を描いてい…

コスプレ映画としての「柘榴坂の仇討」と「舞妓はレディ」

「柘榴坂の仇討」 - コスプレオーバーライドの敗北 時代劇はどうしたってコスプレを免れない。黒沢清監督がどこかで、ちゃんばらは面白いけどどうしてもコスプレになってしまうので、自分が時代劇を撮るのは難しい、みたいなこと言ってたのを思い出す。 免れ…

ふいに「イン・ザ・ヒーロー」自身が立ち上がって人を戸惑わせる

「イン・ザ・ヒーロー」は一見感動モノの顔をしている。「日本で名前も顔も出ないスーツアクターとして長年活動していた中年の役者が、ハリウッドの著名な監督のアクション映画に抜擢されて大役を見事に果たす」という大筋に、「態度の悪い人気の若手アイド…

コスプレ映画

漫画を実写映画化して起こる悲しい事故、モデルの服にあこがれてとんでもないことになるのと似てる。 かっこいいなと思ってモデルの服をそのまま着て、むちゃくちゃなことになる。欠けてるのは「私の目的は『あのかっこよさを自分の上に実現させる』ことであ…

死神に触れる:「オンリー・ゴッド」

私たちの目に死神は映らない。両手に余るほどの作品で「死神」たちが登場してもそれは、人間のコスチュームプレイに過ぎない。たとえ卍解して人間離れした圧倒的な力を誇示しても、存在の様態として人間でしかない。「私は死神である」、「この者は死神であ…

ようよう強くなりゆくジジイ in 映画

「若者をサポートする経験豊富な老人」というのは一つの定番で、そうした存在がいるとお話がとても安定するし、見るとうれしくなる。 映画なら、たとえば『マスク・オブ・ゾロ』とか。ジジイ(初代ゾロ)が若者を鍛え上げて2代目ゾロにする。そしてそれぞれ…

映画のあたりまえが崩壊する瞬間

北野武の「アウトレイジ」で好きなシーンの一つに、道路を渡るときの仕草がある。 ラーメン屋に椎名桔平と森永健司の二人が入ってくるショット。ラーメン屋のガラスのドアごしに、遠くから近づいてくる二人の姿が映される。道路を渡るときに、二人が同じタイ…

「バイオハザードV」、この長大な多重反復の狂気

「バイオハザードV リトリビューション」を観て、話の展開がないからつまんないんだよね、とか、アリスが絶対死なないってわかってるからハラハラしないんだよね、とか、前作前々作とやってること同じじゃん、と言うのはもう本当に完全に正しい。そしてその…

3段腹

アウトレイジ好きの夫婦だったら 「お前の腹は何段あるんだこの野郎」 「あぁ?」 「お前の腹は何段あるかって聞いてるんだ馬鹿野郎!」 「そりゃ1段に決まってるだろ」 「お前は2段も3段も持ってるだろうが。出せ」 「は?」 「腹出せ馬鹿野郎」 「ほら」 …

2月に劇場で見た映画

ネタバレを気にせず書いています。 2/3 クリント・イーストウッド『J・エドガー』 『グラン・トリノ』も『インビクタス』も『ヒア・アフター』も、素直にお話で感動しようと思えばできなくはないようになっていたけど、もはやここに至るとその余地すら奪われ…

アンドリュー・ニコル『TIME/タイム』

映画が終わった時びっくりしました。え、これだけ? って。 (「ベルサイユのばらカルタ」より) でも最初は楽しかったんですよ! 人間がみんな25歳で老化ストップ、人生の残り時間(腕に表示されている)が通貨代わりになった世界。時間が切れれば死ぬ世界。…

ベルナルド・ベルトルッチ『シェルタリング・スカイ』

主人公の女が言葉の通じない砂漠の部族に引き取られて旅をしていくわけですけど、最初はちやほやされてるんですね。それが一転、彼らの町につくと女達の嫉妬を買って家を出、市場で騒ぎを起こして部族の人にめちゃくちゃにされる。これはね、たぶん女が部族…

1月にTV/DVDで見た映画

ネタバレを気にせず書いています。 1/3 藤森雅也『劇場版アニメ 忍たま乱太郎 忍術学園 全員出動!の段』(TV) 感想文は id:Yashio:20120109:1326121773 に書きました。前半の不穏さは一体なんだろう。どこからやってくるのだろう。例えば戦争を描く『ガンダ…

1月に劇場で見た映画

ネタバレを気にせず書いています。 1/6 ガス・ヴァン・サント『永遠の僕たち』 第二次世界大戦で死んだ特攻隊員の霊(加瀬亮)から主人公の男の子(アメリカ人)が日本式お辞儀の仕方を教わるシーンがあります。「違う違う、腰から曲げるんだ」とかいって。 …

藤森雅也『劇場版アニメ 忍たま乱太郎 忍術学園 全員出動!の段』

テレビで見ました。NHK(Eテレ)だとCMもなくていいですね。 まるで期待を欠いたまま見始めたことも手伝って、とても面白くて驚いて見終えました。 まずお話とその構成がしっかりしています。二つの敵対する勢力に対する第三者としての忍術学園。それが巻き…

2011年に観た映画

劇場で観た映画は観た日付昇順。DVDで観た映画は監督名(五十音)昇順→観た日付昇順。 劇場で62本、DVDで60本。来年はそれぞれ2兆本ずつくらい見られればいいかな。 昨年は少しずつ気持ちよさの感覚が分かってきたような気がします。距離感、カット割り、ラ…

興奮と混乱

北野武の『3-4x10月』を観たとき、こんなにダンカンや渡嘉敷をかっこよく撮れる人が、いったい世界にどれだけいるのだろうか! と興奮を覚えましたが、よく考えたら世界にどれだけもダンカンや渡嘉敷をキャスティングする人はいないのだった。

『映画長話』刊行記念トークショー

節電の名残で今日は出勤日でしたが、有給休暇を取得してオーディトリウム渋谷へ行ってきました。 批評家の蓮實重彦、映画監督の黒沢清、青山真治によるトークショーの後、青山真治監督作品『赤ずきん』、万田邦敏監督作品『面影』の短編2本の上映があり、そ…

劇的3時間SHOW 第3回 ホウ・シャオシェン×蓮實重彦

昨日、青山のスパイラルで台湾の映画監督・侯孝賢と批評家・蓮實重彦の対談を見学に行ってきました。ゲストで歌手の一青窈(侯孝賢の『珈琲時光』に主演)も。 面白かったです。3時間の予定を20分ほどオーバーしながら、最後の最後にこれだけは、という調子…

『最後の忠臣蔵』、『アンストッパブル』、『白いリボン』、『海炭市叙景』、『ゴダール・ソシアリスム』、『デュー・デート』、『しあわせの雨傘』

1月に劇場で観た映画です。 1/2 杉田成道 『最後の忠臣蔵』 実家に帰省中、父が観たいというので。途中で父がぼろぼろ泣き出したので、あらーと思ってたら自分もぼろぼろ泣いていた。 あんなに皆ゾロゾロついてきちゃって、あざといなーと思いつつ泣いちゃう…

イナズマイレブン

「劇場版イナズマイレブン 最強軍団オーガ襲来」(3D)を観てきました。祝日・昼間・公開初日ということで348席が完売、子供だらけでした。 一番おもしろかったのは、上映前のいつもの「NO MORE 映画泥棒」のCMで頭がカメラの人が登場した瞬間、子供たちが「…

『ブロンド少女は過激に美しく』、『ナイト&デイ』

特に大衆性(?)の低い映画、乱暴に言えば作家主義的な映画を観に行くと、全く間違ったところで笑い声を出すおっさんが大概いる気がする。イライラさせられる。あれは本当に面白くて笑ってるんじゃなくて「俺はこの高級な作品の面白さを分かるんだぜ」とい…

「カラフル」、「十三人の刺客」、「大奥」、「半次郎」、「キャタピラー」、

劇場で5作連続で邦画を見るなんて珍しい。(普段あんまり邦画を見ない) 今公開中の時代劇「十三人の刺客」、「大奥」、「半次郎」の3本を仮に並べてどれが一番面白かったかと問われれば「十三人の刺客」を、どれが一番退屈だったかと問われれば「大奥」を迷…

2010年上半期に劇場で観た映画

1/10 オラントゥンデ・オスサンミ 『フォース・カインド』 これは現実に起きた事件だと(それが事実でも虚偽でも)強調せざるを得ない、そのフィクションを引き受け切れない弱さが嫌い。 1/16 ジェームズ・キャメロン 『アバター』 まっすぐ進歩した先のこと…

W杯と「アウトレイジ」と「アイアンマン2」と「告白」

W杯のオランダ-日本戦の時間、「アイアンマン2」を観ていたので試合を見られなかった。でも同じ映画館内の別のスクリーンでパブリックビューイングをしていて代表ユニフォーム姿の人がいっぱいいてかなり近い時空間を彼らとぼくは共有した訳だから、気持ちと…

ラデュ・ミヘイレアニュ「オーケストラ!」

を観てきました。今年に入って映画館で観た映画はこれで30作目。もっとたくさん観られたらいいんだけど…… コメディ映画として得体の知れない過剰さ――救急車のサイレンやパリへの異様な思い入れやマシンガン等々――がそこかしこに見られて面白かったのですが、…