やしお

ふつうの会社員の日記です。

奥田英朗『イン・ザ・プール』

https://bookmeter.com/reviews/109889517
刊行直後に16歳の時に買ってゲラゲラ笑って読んだ小説で、思い出深い。20年後に36歳の自分がもう一度読んだらどう感じるかなと思って買って読み直した。ゲラゲラ笑いはしなかったし、「当時はこのレベルのジェンダーロール的な価値観を無批判に書けたのか」とか、「妙な行動をする人を出して、それをオーバーライドして更に妙な行動する人物(伊良部)を出しておかしさを生じさせるのね」とか、入り込むというより客観的に見てしまったけど、楽しかったし懐かしかった。

荻上チキ『いじめを生む教室』

https://bookmeter.com/reviews/110839300
センセーショナルないじめ死亡事件が起こると、ワイドショーで「学校から逃げろ」と言われるが、現実のデータを見れば、言われるまでもなく学校から逃げて身を守っている生徒が現に大勢いて、教育機会から阻害されている、いじめ被害者が教育機会を奪われない体制をつくらないと意味がない、と指摘されるとそれはそうだよなと思った。詳細な統計データなどを元に実態が語られてリアルだし、それを元にどう現実的な対策を取るのかという話ですごく地に足がついていた。

黒田草臣『終の器選び』

https://bookmeter.com/reviews/110423158
著者の両親が北大路魯山人の家の2階に住んでいた時期があり、その後も父親の遣いで魯山人のところへ通ったという。本書は陶磁器全般に関する解説書だが、魯山人がどういう人物で、やきものの世界に与えた影響も知られて、なんか漠然と「美味しんぼ」の海原雄山みたいなイメージしかなかったけど、実際めちゃくちゃ探究心が旺盛でアクティブで、かつ有能な人物だったことがよく分かるし面白い。


 その後、著者が営む渋谷のギャラリーに行って、誕生日プレゼントで青瓷の湯呑を買ってもらった。本書でも紹介されていた作家の作品。本当にかっこよくて気に入っている。