やしお

ふつうの会社員の日記です。

鈴木哲也『セゾン 堤清二が見た未来』

https://bookmeter.com/reviews/110423133
児玉博『堤清二 罪と業』で清二の生涯や家族などの話はわかったので、もう少し具体的にセゾングループを構成していた各企業(西武百貨店西友・無印・LOFT・ファミマ・パルコ・リブロ・インターコンチネンタルホテル等々)の話を知りたいと思って読んだ。「自己批判・否定によって新しい価値を世の中に提示する」点に特質があって、それは「適切にリスク管理して現在の事業を安定化させる」という営みとは背反し、グループ崩壊に至ってしまう。ただそのおかげで日本の消費文化にとって合理化一辺倒に歯止めをかけた側面があった。

松尾弌之『大統領の英語』

https://bookmeter.com/reviews/110423089
単に大統領のスピーチの紹介だけでなく、その大統領が登場した文脈やキャラクターと、使用される英語の特徴とを結びつけて解説されるので面白かった。Mr. Presidentという呼びかけが、大統領の呼び方が議論された際に、初代大統領ワシントン自身が「単にミスターでいい」と提案して定着したものという話や、大統領選が教会の説教にも繋がる「言葉の祝祭」の側面があって、大統領候補には演説を語る能力が当然に求められるという話も、そうなのねと思った。

吉川景都・BAパンダ『メイクがなんとなく変なので友達の美容部員にコツを全部聞いてみた』

https://bookmeter.com/reviews/109889247
BAと漫画家の対話で進む漫画パート、「眉毛の描き方変えるといいよ」「眉毛!?」とか「眼球と骨のこと考えるといいよ」「眼球と骨!?」とか、「キーワードを単に絶叫するリアクション」が頻出するのに一度気付いてしまうと、「説得力!?」「目薬!?」「角度!?」「わかんない!?」「使用方法!?」と出てくるたびにめちゃ笑ってしまう。これはツイートで読まれる前提でチューンされた結果なのでしょうがない。本題のメイクの話は、やっぱり自分の知らない分野の技術の集積とそのベースの思考を見せてもらうのは単純に楽しかった。