ドンドン防虫、ドンドン防虫、と言いながら勝手にタンスに防虫剤を入れる妖怪のことを、ちょっと考えてた。
大江健三郎『芽むしり 仔撃ち』
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さっさと消える村人はともかく、ずっと視界にいる子供たちについて、僕、弟、南以外一切個人を特定できないように書き進めるというのはどういう志向から来るんだろう。どんな顔してる、どう呼ばれてるってつい書きたくなるじゃん普通、と思いつつ、そういや極端に本名が抑制されてるなと思う。村も人物も。唯一本名は李くらいで(でも一般的過ぎて意味がない)、南も周到にあだ名になってて、犬に至っては元の名前のクマがあっさりレオに上書きされる。一方で抽象性を押し出しといて、動作感情の側はみっちり書いて際立たせる、みたいな戦略かしら。
- 作者: 大江健三郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1997/08
- メディア: 文庫
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柄谷行人『反文学論』
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/14100767
70年代の後半に文芸時評なんて仕事をしてたのね、というのが率直に意外。それから筆力、みたいな言葉も平気で書いて見た目が時評っぽいのも意外。割と丁寧に積み上げて飛ばさずに書いていくタイプの人だと思っていたので、各回の最後で、今月の他の作品にもついでに触れておく、という軽さで感想が書かれているのは、この著者の他の著作にはあんまり見られないような。それだけにかえって色んな視点がぽんぽん出てて面白いかもしんない。
- 作者: 柄谷行人
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1991/11/05
- メディア: 文庫
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