やしお

ふつうの会社員の日記です。

私の恋愛太平記

 昨日、帰りの電車で隣の席の女子高校生がずーっと肩にもたれかかってきた。
 その間、金井美恵子の「恋愛太平記」を読んでいたところ、三十前後の姉妹が、ムダ毛の処理をしないといけないのにカミソリがない、じゃあ死んだ父親の電動シェーバーを使えばいいじゃない、と話し合っているのに続けて、

そういえば、セーターやソックスの毛玉を取る電動式の道具が使えるのじゃないかと思って、腋毛を始末して血だらけになったっていう女の人の投書を新聞で読んだことがある、と言い出し、朝子が、そうかあ、と大声を出し、こないだあたしも毛玉取り機を買ったけど、刃の部分に被せてあるプラスチックのキャップに、大きな字で、「毛玉を取る目的以外には絶対使用しないでください」と書いてあるシールが張ってあったのは、そういうことがあるからで、毛玉を取る以外、いったい何に使用するのかと不思議だったけれど、それで疑問がとけた、世の中にはどうもヘンなことを考える人がいるからこわいね、と言うと、美由起が、それにしても血だらけになるまでよく使ってられたもんだよね、と……
金井美恵子『恋愛太平記 1』集英社文庫(p.392))


という会話の場面が出てきて、なんじゃこれと思いつつ、つい、にやにやしてしまってこれじゃあ、女子高校生にもたれ掛かられて嬉しがってる人みたい。
 自分は小柄なので、女子高校生だろうと男子高校生だろうと、もたれ掛かられると重くて腕や肩が痛くてしんどいからいやだ。自分がボブ・サップほど大きければ何人でも支えられるのかもしれないけど、ボブはでかすぎてたぶん2席分くらい占領してしまうから、もし自分がボブなら申し訳なくて電車では立ってることにして、けっきょく誰ももたれてこない。
 でも、そういう気をつかうボブ・サップばかりじゃなくて、悪のボブ・サップもやっぱりいて、そいつは平気で座席に座るんだ。そうすると何人でも支えられる……というとそんなことはなくて、やっぱり、小錦ほどの男に寄り掛かられればさすがにボブ・サップも重いだろう。たぶん小錦は3席分だから、ボブと合わせて5席分も占領する。悪いやつらだ。
 その上ボブ・サップが「恋愛太平記」を読んでいたら、にやにやするので、ボブ・サップ小錦に寄り掛かられて喜んでる変態ってことになる。
 悪人のくせに、しかも変態だ。