やしお

ふつうの会社員の日記です。

半沢隆実『銃に恋して 武装するアメリカ市民』

https://bookmeter.com/reviews/99194576
アメリカの銃規制反対派の言い分を紹介する本。そういうロジックになっているのかと面白かった。「国家権力に一定の縛りをかけて市民社会を守る」が民主主義のベーシックな考え方だという理解はあったけど、それが「市民が銃を持つことで国家権力に対抗できる」という考えから、「銃規制に反対することが民主主義を守ること」となっている。荒唐無稽なようにも聞こえるけれど、歴史的な経緯などを丁寧に見ていくと、その論理がリアリティを持っていることが分かる。銃社会がもたらす現実が、その論理のリアリティをさらに補強する。

齊藤忠光『都道府県と市町村の成り立ち』

https://bookmeter.com/reviews/99194530
日本の地方行政区分を古代~現代まで時間軸に沿って概説する本。主に明治期の藩→県への編成の変遷や、市町村体制が形成されていく過程がメインで扱われている。なぜ全て県ではなく都道府県の4種類あるのかとか、「郡」って何なんだとか、そうした疑問も、歴史的な経緯を見ていくと「その時点では必要だったものが、必要性はなくなっても形や名前として残った」みたいなものもたくさんあることが分かる。単純な時間軸で並べるより、著者なりに大胆に整理してみせてほしかった。

中川淳一郎『電通と博報堂は何をしているのか』

https://bookmeter.com/reviews/98946499
広告代理店(特に電通)の、ブラック、中抜き、利権などのネガティブイメージが生じる構造が少しわかった。広告の仕事がもともと明確なゴールを持ちづらく「際限なく時間をかけられる」ため、長時間・大人数をかけがちで、ネットの登場でさらに過剰になる。人件費がかさむため外注や子会社にやらせて、社員の専門性が低下する。クリエイター優位の博報堂に対し営業優位の電通では、顧客要望に沿い過ぎるし、クライアントも「高いが面倒なく丸投げできる」と重宝し癒着していく。広告やPRに意義はあっても、業界構造が時代の変化に追従していない。