http://book.akahoshitakuya.com/cmt/10657898
各種違法薬物の位置関係を俯瞰するにはいい本かもしれません。名前は知っているけれど具体的な作用や、それぞれの関係を知らなかったので勉強になりました。ケシ→阿片→モルヒネ→ヘロインという順で作られるとかなるほどなるほど。ただ、化学式を一切省くという方針はかえって分かりにくい気もします。化学構造や操作を言葉でひたすら説明されるより絵で見せてくれた方が。あと章立てがきっちりしているのに章の中は構成がぐちゃぐちゃなので悲しい。変に自分の文章に自信がある人がやっちまうパターンかもしれない、なんて疑っちゃう。
せっかくなので(?)忘れないようにまとめてみた。(クリックで大きくなる)
本書ではこの他にも紹介されていますが、大雑把な構図はこんなところ。
ただ、改めて本書を離れてネットで調べてみると違うことが書かれていたりして怪しい。
たとえば「アンフェタミンはメタンフェタミンの化学構造を参考に化学合成された化合物である。すなわち、一九三一年に、アメリカにおいてメタンフェタミンのN-メチル基を欠くアンフェタミンが化学合成された。」(p.144)とあるけれど、例えばWikipediaではアンフェタミンは「1887年(明治20年)、ルーマニアの化学者ラザル・エデレアーヌ (Lazăr Edeleanu) がベルリン大学で初めて合成した。」、メタンフェタミンは「1893年(明治26年)、日本の薬学者・長井長義によりエフェドリンから合成されて生まれた。1919年(大正8年)、緒方章がその結晶化に成功した。」とあって、アンフェタミンの方が先行している。
他に例えば、大麻の主な有効成分であるTHCを本書では幻覚剤と分類しているが、Wikipediaでは「幻覚を見ることは稀である(レスター・グリンスプーン、ジェームズ・B. バカラー 『サイケデリック・ドラッグ-向精神物質の科学と文化』)」として、他にネットでぱらぱら見る限りではアッパー系になったりダウナー系になったり色々変わる模様。
等々の疑問は措いて、とりあえず本書を信用した上でまとめたのが上です。まとめたところで、私の今後の人生に役立つことはなさそうですが……
というか本当はこういった図を著者が書いてくれればいいのに、と思っています。
- 作者: 船山信次
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/03/18
- メディア: 新書
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