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謎めいた女、って喋らせずに隠蔽する素振りによって安易に描かれたりするけど、そうじゃない。このナジャ、自分がどう考えてるか何を見てるかひたすら語りまくる。なのに謎めいた女なんだ。過剰な饒舌さで単一の意味に収まらないって点で謎なのであって、これを他者性と呼べるのかもしれない。他者とはわかりきることのない存在である。それでナジャが目の前から消えると、急に私の理解の範疇に収まり始めてついに「これは、私自身なのか?」と呟くことになる。他者性が消失するとモノローグにならざるを得ない、そんな帰結を目の前で実践する小説。
- 作者: アンドレブルトン,巖谷国士
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1989/05
- メディア: 新書
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