やしお

ふつうの会社員の日記です。

『ブロンド少女は過激に美しく』、『ナイト&デイ』

 特に大衆性(?)の低い映画、乱暴に言えば作家主義的な映画を観に行くと、全く間違ったところで笑い声を出すおっさんが大概いる気がする。イライラさせられる。あれは本当に面白くて笑ってるんじゃなくて「俺はこの高級な作品の面白さを分かるんだぜ」というアピールのためにわざわざ声を上げて笑ってるんだ(と思ってる)。くそジジイめ……
 そういうわけで今日、日比谷のTOHOシネマズシャンテでマノエル・デ・オリヴェイラの「ブロンド少女は過激に美しく」を観てきました。「作家主義的な映画」なんてまるで無関係な映画ですが、なんていうか、本当に贅沢で楽しかったです。まず単純に時間の使い方が贅沢だと、ああ、映画を観ているんだなあと満足。いつもテレビだから。例えば時間経過を知らせるための、街の遠景のカット。夜の街から、ディゾルブも無しにいきなり朝の街に切り替わる(その「いきなり」感がまた)わけですが、その街の遠景が、観客に「朝になったんですよー」と了解してもらえれば済む時間を超えて続く。この時間的な贅沢。
 あと、あまり、というかほとんどカメラは動かないんですが、途中(どこだったか忘れちゃったけど)ドアを通り抜けながらその境目の壁を見つつカメラが動くところは、なんていうか、びっくりしました。だから何? って言われても困っちゃいますが……。別に分析的に観ていたわけではないのではっきりしたことは言えないんですが、動いてるのってあそこだけなんじゃないかしら。ぜんぜん違うかしら。勘違いかしら。
 それにしても――つい、コレを言ってしまう欲望を抑えられない――オリヴェイラ、100歳でこの映画を撮ってるんだよなあ。なんなんだ。ずるい。


 ちなみに昨日は「ナイト&デイ」を観てきました。わあ、エンタメ! 「有効性」をひたすら目指してるのはあたし、大好きよ。
 あの笑う「くそジジイ」だったら絶対『ナイト&デイ』を「下らない」の一言で片付けて冷笑するに決まっている。ふふん、この楽しさを知らずに貧しさのまま死んでいくがいい。