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夢でも見てたような気分。各短編で自分がきっかけになるわけではなく、あくまで外部に対して受身の主人公が必死に対処していくものの次々に外からおかしなことがやってきて対処対処、途中であきらめに襲われたり(「汽車の中」や「馬」で落ちて死んだ方が楽だと思ったり)しつつ、そんな自分を妙な距離で冷静に見たりする、この感じが夢っぽい。「汽車の中」冒頭<列車が、尻をぶっ叩かれた馬のように、仕方なしにあえぎ始めると……>に続く部分は圧倒的に的確な書かれ方。その技術力が至る所で崩れる瞬間の快楽といったらない。
- 作者: 小島信夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1967/06/27
- メディア: 文庫
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