やしお

ふつうの会社員の日記です。

私は告白する

 この前、ぼくは職場の人とかき揚げそばの話をしていたんだ。(もちろん勤務時間中に決まっている。)
 会社の食堂のかき揚げそばは以前、ちょうど悪の冷凍のお好み焼きみたいな具合の、小麦粉を純粋に固めましたという感じのかき揚げがのっていた。それが最近、ずいぶんいいかき揚げになった。体積に対する密度が減少し、実に人間的なかき揚げになった。胸焼けもしない。
 職場の人が、以前の反人間的なかき揚げについて
「食後、つゆの量を見るとずいぶん減っていたものだ。かなりつゆを吸うかき揚げだったなあ」と慨嘆したから、ぼくはすかさず
重油が流出したら投げ込めばちょうどいいですね!」と応えた。職場の人が大笑いしてくれて、ぼくは、胸が痛んだ。


 ぼくじゃない、これはぼくの手柄じゃないんだ。
 昔「愛のエプロン」というテレビ番組で、インリン・オブ・ジョイトイが何かお菓子を作った。それは真っ黒で、得体の知れない出来の、もはや食べ物ですらなかった。審査員の伊集院光がそれを口にした後
「一瞬で口の中の全ての水分がこれに奪われる。重油流出事故に投入すればよい」という旨の発言をして、ぼくはとても感激して胸の奥にずっとしまっておいた。それが、あのまぶしいあこがれと一緒に、突然でてきたんだ。けれどそれを言えなかった。会話の流れの、かすかなタイミングの齟齬がそれを許さなかったのだ。


 ぼくに懺悔させてくれ。この世に生きとし生ける、全ての伊集院に懺悔させてくれ。これからはもはや、あることないこと、良いことも悪いことも全て伊集院の言ったことにする。だから赦してくれ!
 ああ、悔い改めよ。光の国は近づいた。